ついに夫はマイホームをおねだり! いずれは欲しいと思っていたので、私は条件付きで承諾することにしました。
マイホームを建ててもすぐ汚れてしまっては残念です。そのため『家事は助け合いながらきちんとやる』と約束してくれるならマイホームを建ててもいいと伝えたのです。
夫は「これからは変わる」と約束してくれました。私はその言葉を信じて、土地探しを始めたのです。
マイホームの完成を心待ちにする夫
それにしても、以前はマイホームに興味がなかった夫が、急に欲しいと言い出したのは不思議です。理由を尋ねると、「君の出張中、ひとりでいるのが寂しいから」とのこと。理想の家で暮らしていれば、留守番も苦じゃなくなると言うのです。
私には共感できない理由ですが、今住んでいるマンションが手狭なのも事実。将来を考えると、広い家に引っ越すのは悪くない選択です。
夫は家の完成が待ちきれない様子で、家具や家電のカタログを見ては、新居での生活を想楽しみにしていました。その一方で、「これからは変わる」と言っていた家事は、契約をして数週間もすると、すっかり元通りになっていたのです。
そして約1年後、ついに念願のマイホームが完成。 「そろそろ引き渡しだな! 引っ越し業者も手配しないと!」と夫からうれしそうなメッセージが届きましたが、私は冷静に「もう引っ越したけど?」と返信しました。
夫は冗談だと思ったようですが、私は本気です。
ハウスメーカーとのやり取りはすべて私が窓口だったので、夫は引き渡しがまだ先だと思い込んでいたようです。引き渡しの日程を夫には伝えず、夫が気に留めない程度に少しずつ荷物を新居へ移していました。
ひとりで引っ越しをしたワケ
その後、私が本気だと気付いたのか、急いで新居にやってきた夫。インターホンを鳴らしましたが、私が出ずにいると、今度は電話がかかってきました。
「どういうことだ!? とりあえず家に入れてくれ!」それでも、私は鍵を開けませんでした。
「家事をちゃんとするって約束、守れなかったわよね? だから、あなたとは一緒に住めない」家事をサボりがちだった夫を責めると、「それくらいで大げさだろ!」とあきれる夫。
しかし、私が夫を置いてひとりで引っ越した理由はそれだけではありません。夫は不倫しているのです。
新居の建築が進んでいたある日、出張から予定より早く帰宅すると、家から見知らぬ女性が出てくるのを目撃しました。不審に思って探偵に調査を依頼すると、私の出張中、夫と不倫相手が何度も自宅で密会を重ねていたことがわかったのです。
マイホームは不倫相手の希望だったよう。私の出張中、ふたりで過ごす場所を快適にしようと目論んでいたのです。
夫にとって、私はただの都合のいい財布だったのでしょう。不倫相手には私のことを『口うるさいババア』と愚痴っていたことも、すべて証拠は揃っています。
私は何も気付いていないふりを続け、証拠を集めながら弁護士への相談も進めました。ローンの契約はすでに済んでいて、今さら計画を止めることはできません。それなら、この家は私が守ろうと決めたのです。
絶対に、足を踏み入れさせない!
すべての事実を突きつけると、電話越しでも夫が青ざめていくのがわかりました。それでも「彼女とは遊びだった! 本当に愛しているのは君だけ! すぐに別れるから離婚はしたくない」と、見苦しい言い訳を並べます。
夫は「ひとりで大きい家に住むのは寂しいだろ?」と猫なで声で媚びてきましたが、私の心は一切揺らぎません。夫の裏切りを知ったあの日から、気持ちはもう冷めきっていたのです。
「今後のことは弁護士を通して話して」とだけ告げ、電話を切りました。そして私は本格的に新居での生活をスタートしたのです。
離婚の話し合いの中で、夫は家の持ち分を主張してきました。とはいえ、夫がローンを払い続けられるとは思えません。そのうえ私は、不貞行為に対する慰謝料も請求していました。夫に、それを払えるだけのお金はないでしょう。
最終的に、慰謝料の代わりとして夫の持ち分を私に譲ることで話がまとまりました。離婚が成立し、家は正式に私のものになったのでした。
共通の知人から聞いた話では、元夫は不倫相手のもとへ転がり込んだものの、家もお金も失った彼に相手はすぐ愛想を尽かし、関係は長く続かなかったそうです。一度だけ元夫が復縁を求めて泣きついてきましたが、もちろんきっぱり断りました。
離婚後、私は田舎から母を呼び寄せ、2人でマイホームで暮らし始めました。日当たりの良いリビングでうれしそうにお茶を飲む母は、『こんな素敵な家で暮らせるなんて夢みたい』と目を輝かせています。その笑顔を見て、私はこの家を建てて本当に良かったと心から思っています。
◇ ◇ ◇
マイホームは、夫婦が力を合わせて手に入れる大きな買い物。その負担を妻に押しつけ、不倫相手と過ごす場所にしようとするなど、あってはならないことです。
夫婦は、経済面だけでなく家事などの日々の暮らしも分担し、助け合ってこそ成り立つもの。どちらか一方だけが背負い続けると、いつか限界がきてしまうでしょう。
お互いを思いやり、支え合える夫婦でありたいものですね。
【取材時期:2026年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。