洗濯物が干せない!
その日は朝起きたときから、左腕が重く感じました。「何だろう?」と思って腕を動かそうとすると肩に強い痛みが走り、左腕を肩より上に上げられませんでした。
6年前、右手の脱力感をきっかけに脳梗塞が見つかった経験があったため、一瞬不安になりました。まさかと思い、慌てて手指を動かしてみましたが、今回は手指に違和感はありません。しかし、左肩を動かすと強く痛むことから、年齢的に「五十肩かもしれない」と考え、スマ-トフォンで症状を検索しました。
一般に「五十肩」と呼ばれる肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)は、中年以降に多く、肩の痛みや動かしにくさが現れる病気だそうです。私の年齢や症状にも当てはまるように思えました。
台所仕事は痛みのない右手で補えたため、食事の用意には大きな支障はありませんでした。しかし、困ったのが洗濯です。洗い終わった洗濯物を干すときに、どうしても頭上まで両腕を上げる必要が出てきます。ピンチハンガーを低い位置に吊るして、肩より下の位置で干せるように工夫して、ようやく洗濯を終えました。
「石灰沈着性腱板炎」を疑われる
その日は日曜で、かかりつけの整形外科は休診でした。受診は翌日まで待つことにしましたが、夜には肩や腕に何かが触れても激痛が走るほど痛みは強くなり、眠れないほどでした。
朝になり整形外科を受診すると、医師は肩周りを押したり動かしたりしながら、痛みの場所と強さを確認しました。そして、「肩の腱板に石灰(カルシウム)が沈着し、炎症を起こすことがあるんですよ」と、石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)の可能性について説明されました。
石灰沈着があればエックス線画像に映るということで、私はエックス線画像を撮影することになりました。
撮影後、再び診察室に呼ばれました。医師は画像を示しながら、「石灰沈着性腱板炎であれば腱板の部分に石灰が白く映るんだけど、今回は見当たらないね……」と言いました。一方で、肩の骨の位置に問題がありそうだと話し始めました。
エックス線画像に映っていたのは?
医師によると、肩の周辺は主に肩甲骨・鎖骨・上腕骨などで構成されているそうです。肩関節の上方には、肩甲骨の一部である「肩峰(けんぽう)」が肩を覆う屋根のように位置していて、肩峰と上腕骨頭の間はクッションの役割を果たす「滑液包(かつえきほう)」などによって、通常は隙間が空いて見えるのだそうです。
ところが私のエックス線画像では、その隙間が狭まり、肩峰と上腕骨頭が重なって映っているとのこと。その影響で周囲の組織に負担がかかり、炎症を起こしている可能性あると説明されました。
医師から、重い物を持ったり転倒したりしなかったか尋ねられましたが、思い当たるきっかけはありませんでした。
「2週間ほど経過を見てみましょう」と言われ、鎮痛薬、筋弛緩薬、湿布を処方されました。肩の痛みには運動がよいと聞いたこともありましたが、医師に確認すると、痛みが強い間は無理に動かさず、安静にするよう指示されました。
受診した翌日から痛みは落ち着き始め、3日後には洗濯物も普通に干せるようになりました。処方薬を使い終える2週間後には、痛みはほとんど治まっていました。
まとめ
今回の肩の痛みは、石灰沈着性腱板炎ではなく、病名や原因がはっきりしないまま短期間で治まりました。年齢や日ごろの肩凝りから五十肩だと考えていましたが、肩の痛みにはさまざまな原因があり、症状だけで判断するのは難しいのだと感じました。
3カ月後、反対側の肩や首筋に強い張りを感じた際は、ハンディーマッサージ器を使いました。その後、激しい痛みは現れませんでした。ただ、前回と同じ症状だったのか、マッサージによって痛みを防げたのかはわかりません。
今後も普段の肩凝り対策は続けながら、急な痛みや腕の動かしにくさが現れたときは、自己判断せず医療機関に相談したいと思います。
医師による解説:突然の肩の痛みに注意
肩の痛みや腕の動かしにくさは、五十肩だけでなく、腱板の異常などでも起こります。症状が似ているため、原因を見極めることが大切です。
五十肩に似た肩の病気は複数ある
一般に「五十肩」と呼ばれる肩関節周囲炎では、肩の痛みや動かしにくさが現れます。一方、石灰沈着性腱板炎では突然激しい痛みが生じることがあり、腱板断裂でも痛みや運動障害が見られます。診断には、症状に応じてエックス線やMRI、超音波検査などが用いられます。
痛みが強い時期は無理に動かさない
肩の痛みが強い急性期は、無理に動かすことで痛みが悪化する場合があります。痛みが落ち着いてから、医師の指示に沿って運動療法などを取り入れていきます。
突然の腕の異常は肩だけとは限らない
突然、片方の腕に力が入らない、しびれるといった症状は、脳卒中などでも起こることがあります。顔のゆがみや言葉の出にくさなどを伴う場合だけでなく、片方の手足のまひやしびれだけが現れることもあります。脳卒中が疑われる症状が突然現れた場合は、肩の病気と自己判断せず、すぐに救急車を呼ぶことが重要です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修:中村光伸先生(光伸メディカルクリニック院長)
著者:あらた繭子/50代女性/1999年生まれの息子と2005年生まれの娘をもつフリーライター。長年にわたる無茶な仕事ぶりがたたり、満身創痍の身体にムチを打つ毎日。目下の癒しは休日のガーデニングと深夜のKPOP動画視聴。
イラスト:sawawa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年8月)
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