妊婦に冷たい夫
夫と結婚した直後から、義母は月1回のペースでわが家に泊まりに来ていました。義母は「新婚さんに悪いから」と断ってくれていたのですが、夫は「〇〇(私)も喜ぶから! 手料理をふるまいたいって言ってるよ」と、言ってもいないことを平気で口にして、勝手に約束を取り付けるのです。
私は「嫁は手作り料理でもてなすのが当たり前」と言われ、不満を抱きつつも、義母と良好な関係を保つために、毎回2時間以上かけて手料理を準備。義母はいつも「申し訳ないわね、外食でもいいのよ?」と気遣って高級な手土産を持ってきてくれていましたが、良好な関係を保ちたかった私は「大丈夫ですよ」と無理して笑顔で手料理を出していました。
やがて結婚して1年が経ち、長女を妊娠。そんな中でも義母が泊まりに来る日があったのですが、妊娠8カ月になってもつわりがひどく、「体がつらいから、今日はお義母さんにお泊まり断ってくれる?」と夫にお願いした私。しかし「それぐらい頑張ってどうにかしろよ! 母さんに失礼だろ」と言ってきたのです。私は、たしかに急な変更は義母に申し訳ないという思いもあり、仕方なくなんとか立ち上がろうとしましたが、その場で倒れてしまいました。
驚いた夫が119番に連絡してくれ、救急車で病院へ。医師による診察の結果は「つわりによる脱水と、無理に動いたことによる脳貧血」。幸い母子共に異常はなく、点滴をして休めばその日に帰宅できるとのことでした。
落ち着くまで病室で休んでいると、夫から状況を聞いた義母が飛んできてくれました。義母の姿を見て私がすかさず謝ろうとしたときです。夫は義母に向かって「全然大丈夫だったよ。異常なし」と報告。さらに「どうせ料理を作るのが嫌で、仮病使ったんだろ」と、信じられないひと言を放ったのです。その言葉に悲しくなり、私は涙が溢れてきて、反論もできません。
すると、義母が「あら、じゃああなたも前にお泊まりをドタキャンしたとき、高熱だって言ってたのは『仮病』だったのね?」と、冷たく夫を突き放します。たしかに以前、夫が熱を出し、義母のお泊まりを急遽取りやめた日がありました。夫は「あれはマジの熱だから!」と焦って反論しますが、義母は一蹴。「自分が体調を崩したときは『本当』で、つわりに苦しむ妻の体調不良は『仮病』だと決めつけるなんて、どれだけ勝手なの? あなたに動けないときがあるように、〇〇さん(私)にだって動けないときがあって当然でしょう!」と怒鳴ったのです。
夫はぐうの音も出ず、われに返った表情を浮かべました。さらに義母は、「子どもの命を一生懸命おなかで育ててくれている妻を大事にできない息子だとは思わなかったわ!」と言い放ち、病室から出て行ったのです。慌てて義母を追いかけた夫でしたが、さっさとタクシーに乗って義母は帰ってしまいました。
後日、「二度と顔を見たくない。自分の命より大切な孫と、その母親である〇〇さん(私)を粗末にするような男に育てた覚えはない」と義母からお怒りメールが届き、夫は青ざめて大ショックを受けた様子。大好きなお母さんに完全に拒絶されたことで、ようやく自分の愚かさと、妊娠中の私にどれほどひどい仕打ちをしていたかに気づいたようでした。
夫は私の前に座り込み、「本当にごめん……。母さんを喜ばせたい一心で、お前に負担を全部押し付けてた。これからはお前とおなかの子を第一に考えて行動する」と泣きそうになりながら頭を下げて謝罪してくれました。それ以来、毎月恒例だった義母のお泊まりは完全になくなり、夫はすっかり改心して、すすんで家事をしながら、妊娠中の私をやさしくいたわるようになりました。
夫には言っていませんが、私にも義母からお見舞いメールが届き、「あなたが大変なときに、親子喧嘩を見せてしまってごめんなさい。あの子にはお灸を据えますから、どうか、穏やかな妊娠生活を送ってくださいね。私にできることがあったらいつでも頼ってね」と寄り添ってくれました。以降、夫が改心してくれたので義母に特別頼ることはありませんでしたが、そのときの義母の対応には心から救われました。
今回のことで、義母や夫の顔色を伺って「良いお嫁さん」を演じ、無理を重ねてしまう自分の甘さにも気づかされました。自分の体、そして子どもたちの命を第一に考え、つらいときは遠慮せず「無理なものは無理」と主張していこうと思うきっかけになりました。これからも義母のやさしさに感謝しながら、自分自身の手で穏やかな家庭を守っていきたいです。
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つわりで食事や水分が十分にとれないことが続くと、脱水を起こし体にさまざまな不調をもたらすことがあります。特に症状がひどくなった状態は「妊娠悪阻」と呼ばれ、入院して点滴による治療が必要になることも。
また、「脳貧血」とは急に立ち上がったときなどに脳への血流が一時的に低下し、めまいや失神を引き起こす状態のことです。妊娠中はホルモンバランスの変化により血管が広がりやすく、体勢を変えたときの血圧調整がうまくいかなくなるため、脳貧血が起こりやすい状態にあります。体調が優れないときに無理をして動くと、こうした症状が出やすくなることもあります。
体調が悪いときはきちんと休むことを最優先にしたいものです。しかし、つわりのつらさは周囲に伝わりにくいことも多いため、パートナーや家族にあらかじめつわりの症状や影響について知ってもらうことが、いざというときの大きな助けになるのではないでしょうか。
水分や食事がほとんど取れない日が続く場合は、早めにかかりつけの産婦人科に相談してくださいね。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修者:関根直子(助産師)
著者:村沢ゆな/30代・ライター。15歳と12歳のおませな娘たちと、4歳の甘えん坊な息子を育てるママ。毎日の育児にドタバタしながらも、家族に内緒で優雅なカフェランチを満喫するのが趣味。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)