確定申告が2月16日から始まりました。医療費控除や住宅ローン控除の申請をして、還付を受けようと準備されている方もいらっしゃると思います。3月16日までの1カ月間が申告期限ですが、混雑している確定申告会場も少なくありません。
しかし、還付申告の期限は確定申告期間でなくてもいいことはご存知でしょうか。どのような人が確定申告期間終了後でも還付申告の手続きができるか、逆に還付申告でも確定申告期間中に手続きをする必要があるかをお伝えします。
こんなときには還付申告の手続きを!
会社員、公務員、医療・教育従事者などの給料を受け取っている方を「給与所得者」と税法上は分類されますが、正規・非正規を問わずその他の収入がない限り、年末調整で所得税・住民税の手続きは完了し、確定申告する必要はありません。
しかし、給与所得者も年末調整で対象とならない医療費控除(原則、年間医療費が世帯で10万円を超えた場合に適用)や雑損控除(災害や盗難・横領等の損害がある場合に適用)の申請や住宅ローン控除(正式には住宅借入金等特別控除)を初めて申請する場合は、確定申告による還付手続き(以下、還付申告)が必要となります。
また、年末調整で手続きから漏れた扶養控除や生命保険料控除等の追加や年末調整をせずに退職した場合の精算なども、還付申告の手続きで所得税の還付・住民税の減額ができます。
還付申告の提出期間は5年間
確定申告書の提出期間は毎年2月16日~3月15日(2020年は3月15日が日曜日のため、3月16日)の1カ月間ですが、これは自営業者や収入が複数ある人などの納税をする人の期間です。
給与所得者の還付申告の場合は、確定申告の期間と関係なく、該当する事項のあった年の翌年1月1日から5年間となります。例えば、2019年1月1日~12月31日の間に医療費が10万円以上かかり、年末調整で手続きした所得税の還付の手続きをする場合は、2020年1月1日~2024年12月31日までが提出期間となります。そのため、納税する人の申告期間である毎年2月16日~3月15日を避けて、申告することもできます。出産直後や体調不良、お仕事の繁忙期などで確定申告会場に行くことが難しい場合は、落ち着いた時期に還付申告の手続きをすることができます。
注意点としては、駅前や市民ホールなどに期間限定で設定される確定申告会場ではなく、税務署での手続きが必要なこと、還付される期間は手続き完了後1カ月程度かかるため、手続きが遅くなれば還付されるまでの時間もかかることです。そのため、還付金が早くほしい場合は早めの申告をおすすめします。
還付申告でも確定申告期限を守らないといけない場合も
給与所得者の還付申告は上記にあるように5年間ありますが、手続きする内容によっては2月16日~3月15日の期間内に申告する必要な場合があります。主なものは、以下の2点です。
【1】給与以外に副業や歩合等での収入があり、青色申告している場合
青色申告は個人事業やフリーランスの方等が税務署に申請し、正規の簿記による帳簿を備えることにより最大65万円の控除が受けられる制度ですが、毎年3月15日までの申告期限内に申告することが要件です。そのため、青色申告で手続きする人は還付申告であっても、期限内の申告をお勧めします。
【2】給与以外に保険の満期金等や不動産の売却等の臨時の所得や副業等の金額が大きく、納税する場合
給与所得者は年末調整で手続きが完了するのは、他の所得がないためで、給与所得者でも他の所得がある場合は、確定申告が必要な場合がほとんどです。医療費控除を申告しても、不動産の売却や保険の満期金、50万円を超える高額の懸賞金等、20万円以上の副業等がある場合は、納税となる場合があります。例えば、医療費が年間15万円かかり医療費控除で還付を受けようと思っている人が、給与以外に30万円の副業がある場合は、医療費控除の適用を受けても納税となる可能性があります。このような方も期限内の申告をおすすめします。
また、納税か還付か判断できない場合は、税務署に電話などで確認をするか、確定申告期限内に申告することをお勧めします。また、慣れている方であれば、国税庁の確定申告書等作成コーナーからご自身で確定申告書を作成して、郵送することも可能です。いずれにしてもご自身の状況に合わせた期間内に確定申告・還付申告を行っていただき、納める分はしっかり収めつつ、戻る分はしっかり還付を受けられるようにしましょう。