穏やかな同居生活と気がかりな義兄夫婦
義母は普段から周囲への気配りを欠かさない人で、私にも実の娘のように接してくれていました。私の母とも交流があり、「やさしいお義母さんでよかったね」と言われるほどです。
そんな私たちにとって、以前から気がかりだったのが、夫の兄であるA也さんと、その妻のB美さんでした。
義兄夫婦は離れた場所で暮らしていましたが、義母とはたびたび意見がぶつかっていたそうです。私たち夫婦に対しても、自分たちの都合を優先するような言動があり、次第に距離を置くようになっていました。
そんなある日、義母が事故に遭い、病院へ搬送されたと連絡が入りました。
義母の入院に対する義兄夫婦の反応
私たちが病院へ駆け付けたとき、義母はすぐに話ができる状態ではありませんでした。夫は義兄にも何度も連絡しましたが、なかなか電話に出ません。ようやく連絡がついたため、夫が義母の状態を説明すると、義兄は、「手術は終わったんだろ? そっちは遠いし、今日は行けないよ」と言いました。
医師から、退院後もしばらく生活の手助けが必要になる可能性があると説明を受けていたため、夫がそのことを義兄に伝えると、「悪いけど、うちを当てにされても困る。必要なら介護サービスとか施設を考えてよ」と返されたそうです。電話を代わったB美さんからも、「私たちは手伝えないから、そっちで何とかして」と言われたそうです。
すぐに駆け付けられない事情があること自体を責めるつもりはありません。それでも、義母の状態を心配する言葉がほとんどなかったことに、夫はかなりショックを受けていました。
その後、義母は無事に退院。リハビリを続け、半年ほどたつころには、日常生活を送れるまでになりました。私たちもできる範囲で家事を分担し、少しずつ以前の暮らしを取り戻していきました。一方、義兄夫婦とは、その間ほとんど連絡を取っていませんでした。
突然現れた義兄夫婦
そんなある日のことです。義母が通院で外出し、夫も仕事に出ていたとき、仕事から帰った私が自宅の前まで来ると、大きな荷物を抱えた義兄夫婦が立っていました。
「ちょうどよかった。今日からここに住もうと思って」
義兄の言葉に、私は耳を疑いました。話を聞くと、義兄夫婦は仕事がうまくいかなくなり、住んでいた家を出なければならない事情も重なっていたようです。
義兄は、以前自分が「必要なら施設を考えて」と言ったため、私たちがその通りにしたものと勝手に思い込んでいたようです。さらに、「長男である自分が住むなら、弟夫婦は出ていくだろう」と考えていたようでした。
義兄は、「俺は長男だから、ここに住んでも問題ないだろ?」と言いました。B美さんも、「あなたたちは別のところを探せば?」と当然のように言います。
するとそこに、通院を終えた義母が帰ってきました。大荷物を抱えた2人を見るなり、「あなたたち、何をしているの?」と驚いた義母。義兄が、「母さん、施設に入ったんじゃなかったのか?」と言うと、義母は驚いた様子で、「誰が施設に入ったって?」と言いました。
義兄が「俺たちがここに住むから、母さんは施設でも探してくれないか? 弟たち夫婦にも出ていってもらいたい」と言い始めると、義母は「私はまだここで暮らしているし、この家をどうするかは私が決めること。あなたに譲るなんて一度も言っていないよ」と言いました。
B美さんは、「でも、私たち今、住むところに困っていて……」と言いましたが、義母は「困っているなら、まず相談するのが先でしょう。勝手に人の家を自分たちのものだと決める話ではありません」と返しました。そして、持ってきた荷物をそのまま持ち帰るよう伝えたのです。
先ほどまで強気だった義兄夫婦は何も言い返せず、持ってきた荷物を抱えたまま帰っていきました。私が何か説明するよりも、家の持ち主である義母本人から伝えてもらったことで、義兄夫婦も、この家に住むことを自分たちだけでは決められないと理解したようでした。
その後、義兄夫婦とは再び距離を置くことになりました。現在どのように暮らしているのか、詳しいことは聞いていません。
家族だからこそ感じたこと
義母の入院中、義兄夫婦にもそれぞれ事情があったのだと思います。しかし、義母が大変なときには距離を置いていたにもかかわらず、自分たちが困った途端に家を頼ろうとする姿には、複雑な気持ちになりました。
今回の出来事を通して、家族という近い関係であっても、相手の事情や気持ちを確かめることの大切さを感じました。普段から相手を思いやる気持ちが、困ったときに頼り合える関係につながっていくのかもしれません。
現在、義母は以前より元気になり、私たち夫婦と3人で暮らしています。何げなく一緒に食事をしたり、話をしたりできる毎日が、さらにありがたく感じられるようになりました。
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家族という近い関係だからこそ、困ったときに頼りたいと思うこともあるでしょう。ただ、相手の状況や気持ちを確かめないまま、自分の都合だけで話を進めてしまえば、信頼関係にも影響してしまいます。親しい間柄であっても、まず相手の考えに耳を傾けることの大切さを感じるエピソードです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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