異動してきた高飛車な同僚
A子が異動してきてから、営業部の雰囲気は少し変わりました。彼女は自分に自信があるのか、何かと上から目線の物言いをし、周囲を見下すような発言も珍しくありません。
部長から注意されることもありましたが、本人はあまり気にしていない様子でした。そんな中、私が営業成績でトップになったころから、A子は私に嫌味を言うようになったのです。
「その服、営業向きじゃなくない? もう少し気をつかったほうがいいと思う」
突然そんなことを言われ、戸惑うこともしばしば。言い返したい気持ちはありましたが、余計に揉めるのも嫌で、なるべく相手にしないようにしていました。
幸い、ほかの同僚たちは私を気にかけてくれていたため、なるべくA子とは距離を取りながら仕事をしていました。
婚約したA子はさらに…
それから数カ月後のことです。
ある日、A子がいつになく上機嫌で出勤してきました。何かあったのかと思い聞いてみると、彼氏ができたのだと言います。大手企業に勤めていて、さらに見た目もかっこいい男性らしく、A子はうれしそうに彼のことを自慢していました。
さらに半年ほどたったころ、「私、婚約したんだ!」と報告したA子。
私が「おめでとう」と伝えると、A子はうれしそうに笑いながら、「ありがとう。でも、あなたも早くいい人見つけたほうがいいよ。まあ、私の彼みたいな人は無理だろうけど」と、またしても私を見下すようなことを言ってきました。
それだけではありません。A子は「結婚式の打ち合わせがあるから」「今日は早く帰りたいから」と、残業になりそうな仕事を周囲に頼むことも増えていったのです。
部長から注意されても、「今日だけなんで」と言い訳することがあり、結局、私やほかの同僚がフォローする場面も少なくありませんでした。
A子の婚約者を見た瞬間…
そんなある日、残業を終えて会社を出たときのこと。偶然、A子がひとりの男性と一緒にいるところを見かけました。
私に気づいたA子は、うれしそうに「この人、私の婚約者!」と紹介してきます。
ところが、男性の顔を見た瞬間、私は言葉を失いました。
「え……あなた、結婚していますよね?」
思わずそう口にすると、男性の表情がこわばりました。
彼は、私の学生時代からの親友・B美の夫だったのです。B美とは今でもよく連絡を取り合う仲で、結婚後に家に遊びに行かせてもらったことも何度かあります。
「B美の旦那さんですよね? どういうことですか?」
私が問いかけると、男性は明らかに動揺。すると隣にいたA子が、「え? 結婚してるってどういうこと?」と声をあげました。
どうやらA子は、彼が既婚者だとは知らなかったようです。
男性は言葉を濁しながら、「ちゃんと説明しようと思ってた」「もう夫婦関係は終わってるようなものだから」と言い始めました。
けれど私は、B美から夫婦仲が悪いという話を聞いたことはありません。むしろ少し前にも、夫婦で旅行に行った話を聞いたばかりでした。
「このことはB美にも伝えます」
私がそう言うと、男性はますます焦った様子に。A子も「そんな話、聞いてない!」と怒り出し、一気に険悪な空気になりました。
男性はしばらく言い訳を続けたあと、その場を離れていこうとします。A子は「待って! ちゃんと説明して!」と彼を追いかけていきました。
その後、A子は…
翌朝、A子は出勤してきましたが、見るからに疲れた様子でした。私と目が合うと気まずそうに視線をそらし、「彼とは別れたから」とだけ言いました。
その後、私もB美に事情を伝えました。しばらくして話を聞くと、B美の夫がA子に独身だと偽っていたことがわかり、B美は夫と話し合った末、離婚を決めたそうです。
それからA子は、以前のように私へ嫌味を言ったり、仕事を押し付けたりすることはほとんどなくなりました。ただ、次第に仕事を休む日が増え、数カ月後には会社を退職。それ以来、彼女と顔を合わせることはありません。
A子があれほど自慢していた婚約者が、まさか親友の夫だったとは今でも驚きます。人の肩書きや表面的な印象だけで相手を判断するのではなく、普段の言動を見ることが大切なのだと感じた出来事でした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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