私が何度断っても、無理やりAくんを置いていってしまうこともあり、まるで無料の託児所のように扱われ、どうすれば諦めてもらえるのかと私は頭を悩ませていました。
親子そろって問題あり
ある日、また息子のAくんを預けに来たママ友に、「今日はどこへ行くんですか?」と尋ねた私。
するとママ友は、「そんなプライベートなことまで答える必要ある? ちょっとぐらい見てくれてもいいじゃない」と言ったのです。その態度に私はあぜんとしてしまいました。
事前にこちらの予定を確認することもなく、突然子どもを預けようとしてくるだけでも困っていましたが、私にはもうひとつ気がかりなことが……。
それは、Aくんの振る舞い。うちに来るたびに娘のおもちゃを乱暴に扱い、壊してしまったことも。しかも、娘が泣いても謝ろうとはしないのです。
さすがに見過ごせず、迎えに来たママ友に事情を伝えたのですが、「うちの子のせいにするなんてひどい!」と逆ギレされてしまいました。
何度話してもまともに取り合ってもらえなかったため、私はとうとう「今度、事前に連絡なくAくんだけ置いていくようなことがあったら、警察に相談します」と伝えました。
すると、ママ友は「仕事なんだから仕方ないでしょ! 専業主婦は気ラクでいいわね」と吐き捨て、Aくんの手を引いて帰ってしまいました。
平穏な日常が戻ってきたと思ったら!?
それ以降、しばらくそのママ友がAくんを預けに来ることはありませんでした。ようやく諦めてくれたのだと思い、穏やかな日々を取り戻せたと胸をなでおろしていた私。
ところが、ある日の朝8時ごろ、突然インターホンが鳴ったのです。
モニターを確認すると、そこには例のママ友とAくんが立っていました。嫌な予感がしながら「何か用ですか?」と尋ねると、案の定、「今日、預かってくれない?」と言われました。
しかも、インターホン越しにもわかるほど、親子そろって何度も咳き込んでいました。心配になって尋ねると、2人とも夏風邪をひいているというのです。
私は驚いて、「そんな状態のお子さんを預かるのは無理ですよ。途中で具合が悪くなったら、責任を負えません」と断りました。
しかし、「でも、だいぶ良くなったのよ。こんなときでも仕事は休めないから……今日だけ見てもらえない?」と食い下がるママ友。
無理をして出勤するよりも、まずは自分自身と子どもの体調を優先したほうがいいのではないかと伝えたのですが、ママ友はあれこれ理由をつけてAくんを預けようとします。
話を聞いているうちに、私は妙な違和感を覚えました。以前からママ友は「仕事だから」と言っていたものの、どこかお茶を濁すようなことを言っていたからです。
ふと、以前雑談のなかでママ友の勤め先を聞いたことを思い出した私。そこで私は、「顔色も悪いし、私から勤務先に連絡して休めるか確認しましょうか? そんな咳じゃ、電話するのもつらいでしょう」と提案してみました。すると、それまで強気だったママ友の表情が一変したのです。
「絶対にやめて! 会社には私から連絡するから! 余計なことしないで」
そう言うと、ママ友は息子を連れ、逃げるように帰っていきました。
その様子を見て、ますます不思議に思った私。そして後日、ママ友があそこまで慌てた理由を知ることになったのです。
ママ友が子どもを預けに来た本当の理由
それから1週間ほど経ったころ、突然例のママ友からメッセージが届きました。
「あなたが夫にバラしたんでしょ!」
何のことかわからず一瞬戸惑いましたが、すぐに思い当たることがありました。実は少し前、そのママ友の旦那さんから「妻が息子のAを預けに来たことはありませんでしたか」と尋ねられていたのです。
私は聞かれたことに対して、これまで何度かAくんを預かったことや、その日時を覚えている範囲で伝えただけでした。そのため、ママ友には「あなたの旦那さんから聞かれたことについて、事実を答えただけです」と返信しました。
その後しばらく、ママ友の姿を見ることはありませんでした。そんなある日、ママ友の旦那さんが再びわが家を訪ねてきて、事情を話してくれたのです。
ママ友は数カ月前に仕事を辞めていたにもかかわらず、その事実を旦那さんに隠していたそう。毎朝これまでと同じように家を出て、「仕事に行ってくる」と言っていたのだとか。
そして、私に息子を預けていた日も、仕事へ行っていたわけではありませんでした。
そんな中、旦那さんは妻の元同僚と話す機会があり、妻が数カ月前に退職していたことを知ったとのこと。そこで、退職後も毎日のように外出していたことを不審に思い、専門の調査会社に妻の行動調査を依頼したそう。少し前にわが家へ事情を聞きに来たのも、妻がどこへ出かけていたのかを確認するためだったのです。
調査の結果、彼女には親しい関係にあった男性がいたことが判明。ママ友がAくんを預けて頻繁に外出していたのは、その男性と会うことが目的だったようでした。
その後、ママ友夫婦は話し合いを重ねた末に離婚。Aくんの今後の生活環境などについても話し合った結果、父親と暮らすことになったそうです。現在は引っ越して、父親の実家のサポートも受けながら生活していると聞きました。
私自身は、同じマンションに住む顔見知りだったからこそ、最低限の信頼関係は大切にしたいと思っていました。だからこそ、こちらの都合を確認せず、無理やり子どもを置いていかれたときには本当に困りました。まして、体調を崩している子どもを無理に他人へ預けようとするのは、簡単に受け入れられることではありません。
大人同士の事情がどうであれ、振り回される子どもには何の責任もありません。Aくんがこれから安心できる環境で、穏やかに過ごしていけたらいいなと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。