女性社長との出会い
大学を中退したあとは、数人の仲間と小さなチームを作り、システム開発の仕事を続けていました。
そんなある日、知人に頼まれ、企業向けの講演会でシステム開発について話すことに。講演後、ひとりの女性から声をかけられ、名刺を交換しました。名刺を見ると、とある会社の社長でした。
後日、「開発のことで、少し相談に乗ってもらえませんか?」と連絡をもらい、改めて話すことに。仕事の話をするうちに話が弾み、社長からは「よかったら、うちの会社に来ませんか」と誘われました。
最初は、自分たちのチームで頑張りたい気持ちが強く、その誘いを断りました。それでも何度か声をかけてもらううちに、大きな規模の仕事にも挑戦してみたいと思うように。
悩んだ末、僕は仲間とも話し合い、社長の会社へ転職することを決めました。
「高卒のくせに」部長からの嫌味
入社後は、新設されたシステム開発チームのリーダーを任されました。
最初のころは、新しい環境や仕事を覚えることで精いっぱい。それでも、これまでの経験を生かせる仕事には大きなやりがいがあり、少しずつチームも軌道に乗っていきました。
そんな僕のことを、あまりよく思っていない人がいました。僕たちのチームを管轄する部長です。
ある日、チームの仕事ぶりを社長から褒めてもらったことがありました。僕が席に戻ろうとすると、部長が近づいてきて、小声で「高卒のくせに……あんまり調子に乗るなよ」と言ったのです。
そのころから、部長の嫌味はだんだん露骨になっていきました。
そして、入社して1年ほどたったころ。社長が数週間の海外出張へ行くことになりました。
すると、社長がいないことをいいことに、部長の態度はさらに悪化。仕事について意見を出してもまともに取り合ってもらえず、「社長がいなきゃ何もできないんだな」と言われることまでありました。
さらに、「社長に取り入って気に入ってもらってるだけだろ? いったいどんな関係なんだか(笑)」と、意味ありげに言われ……。
さすがに僕も限界でした。毎日のように嫌味を言われながら、ここにしがみつく必要はない。これまでの経験を生かせる場所は、ほかにもあるはずです。
僕は部長に退職する意思を伝えました。
予定より早く帰国した社長
その後、僕は人事にも退職の意向と、部長との間で起きていたことを説明。社長には帰国後、自分から話すつもりでいました。
ところが翌日も、部長の嫌味は続きました。それどころか、「どうせ辞めるんだから、この仕事はもういいよな」と、僕が担当していた仕事をほかの人に回そうとしたのです。
「まだ退職日も決まっていません」
そう伝えても、部長は聞く耳を持ちません。
そのとき、「何してるの!」という声が。振り返ると、そこには海外出張中のはずの社長が立っていました。予定が変わり、少し早く帰国したようです。
部長は慌てて、「こいつが辞めるっていうから……」と言い訳。すると社長は驚いた様子で僕を見て、「辞めるって、本当なの?」と尋ねました。
「帰国されたら、きちんとお話しするつもりだったんですが……。すみません、退職させてください」
そう伝えると、僕は社長室に呼ばれ、これまで部長との間で何があったのか事情を聞かれました。
僕の決断は…
社長は僕の話を聞いたあと、「部長の件は私のほうでもきちんと確認するから、退職については考え直してもらえない?」と言いました。
後日、社長と人事がほかの社員にも話を聞いたところ、部長から嫌味を言われたり、理不尽な態度を取られたりしていた人が複数いたことがわかったそうです。
その後、部長が社長や人事とどのような話をしたのか、詳しいことはわかりません。ただ、しばらくして部長は会社を退職しました。
僕も改めて考えた末、退職の意向を取り下げました。今もこの会社で働いています。
今回のことで、好きな仕事だからといって、つらい状況を無理に我慢し続ける必要はないのだと感じました。これからは、無理をしすぎる前に、周囲に相談することも大切にしたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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