約束を破り、娘の絵を払いのけた夫
帰宅するなり「ビール! それからツマミ!」と命令し、何か気に入らないことがあると不機嫌になる夫。私が少しでも小言を言うと、「俺はお前らのために働いて疲れてるんだぞ!」と威圧的に押さえつけてくるのです。
ある週末のことでした。夫は数週間前から、その週末に娘と遊園地へ行く約束をしていたにもかかわらず、前夜に同僚と遅くまで飲み歩き、ひどい二日酔いで昼過ぎまで起きてきませんでした。
何度も起こしましたが、起きようとせず、やっと起きてきたかと思うとソファに寝転んで、娘には謝りもしませんでした。
約束を破られて娘は落ち込んでいたにもかかわらず、具合が悪そうな夫を心配し、元気づけようと一生懸命「パパの似顔絵」を描いて、夫のところへ持っていきました。しかし、夫は「うるさい、疲れてるんだよ!」といら立ちながら、娘が渡した似顔絵を払いのけたのです。画用紙は床に落ち、娘は大泣きしてしまいました。
私は慌てて娘を抱きしめ、娘に謝るよう夫に強く抗議すると、夫はソファから起き上がり、こう吐き捨てました。
「子どもの絵を見なかったぐらいで偉そうに俺に説教するな! だいたいお前はいつもうるさいんだよ。主婦のくせに偉そうにするな! 文句があるなら、俺みたいに稼いでから言え!」
「じゃあ私が働く」自立の準備
夫のあまりに身勝手な暴言に、私はもう限界でした。その日のうちに娘と最低限の荷物をまとめ、実家へ帰ったのです。
数日後、実家まで迎えに来た夫は……。
「俺はお前らのために働いてやってんだ! 毎日仕事で疲れてるんだから仕方ないだろ! もう気が済んだだろ? これ以上俺を困らせるな! 帰って、たまっている洗濯物を片付けろ!」
まったく反省の色を見せない夫に、私は自分の署名を済ませた離婚届を突きつけました。
「じゃあ私が働く。そんなことを言われるくらいなら、これからは自分で稼いで娘を育てます。もうあなたには頼らない。離婚してください」
私がそう宣言すると、夫は「専業主婦のお前にまともな仕事なんて見つかるわけない。どうせすぐに生活できなくなって泣きついてくるに決まってる」と鼻で笑いました。
しかし、私は本気でした。夫との生活には戻らず、その日から両親のサポートを受けながら、独身時代の事務職経験を生かして就職活動を始めました。運よくすぐに仕事が見つかり、派遣社員として働き始めることになったのです。
一方の夫は、それまで家事をほとんどしてきませんでした。夫が不在の間に何度か荷物を取りに帰りましたが、私がいなくなった家は見る影もないほどに荒れ果てていました。
私が働き始めてしばらくすると、仕事と慣れない家事の両立に音を上げた夫は、私の決意が固いと悟り、ようやく離婚に応じました。その後、娘の親権や養育についても話し合い、必要な手続きを済ませて離婚が成立。養育費の取り決めは公正証書に残し、私は娘とともに実家近くのアパートで新しい生活をスタートさせました。
3年後、自業自得の結末を迎えた夫
それから3年が経ちました。私は派遣先でのまじめな勤務態度が評価され、その会社から正社員として採用されました。経済的にも安定し、娘と心穏やかな日々を送っていました。そんなある日、見知らぬ番号から着信があり、出てみると元夫でした。
「俺が悪かった。もう一度やり直してくれないか」
弱々しい声で復縁を迫る元夫。実は以前、共通の知人から元夫の近況を聞いていました。離婚後、元夫は荒れた食生活と不規則な生活で体調を崩し、仕事でもミスが続き、役職を解かれたそうです。減給され、毎月の養育費を支払いながら生活することが厳しくなったと言います。私が正社員となり、自立した生活を送っていると知って、復縁を考えたのかもしれません。
「あのとき『稼いでから言え』って言ったよね? 私、今は自分で稼いで娘と幸せに暮らしているから。今後、娘に関する必要な連絡以外はしてこないで」
すると元夫は、「待ってくれ! 今の給料じゃ生活するだけで精いっぱいなんだ! 頼む! もう一度チャンスをくれ……」と声を震わせました。
しかし、私はもう元夫を支えるつもりはありません。きっぱりと復縁を断って電話を切りました。これからも元夫に振り回されることなく、娘との幸せな暮らしを守っていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
「自分だけが家族を支えている」と言わんばかりに妻を見下し、娘の気持ちまで踏みにじった夫。仕事で疲れているからといって、家族に横柄な態度をとっていいわけではありませんよね。また、家事や育児も家族の暮らしを支える大切な役割であり、収入の有無だけで相手の価値を決めるべきではありません。夫婦だからこそ、お互いの頑張りを認め合い、感謝や思いやりを忘れずに、対等な関係を築いていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。