身に覚えのない「200万の損失」
ある休日、見知らぬ番号から着信がありました。電話に出ると、相手は元義父。久しぶりの連絡に驚く僕をよそに、元義父はいきなり怒鳴り始めて……。
「娘から、お前の親父が取引先を集めて大規模なゴルフコンペを開くって聞いていたのに、時間になっても誰も来ない。200万近い損失が出ているんだぞ!」
突然の話に、僕は戸惑うばかり。詳しく聞くと、少し前に元妻から「夫の父が取引先を招いて80人ほどのコンペを開くことになった。私が幹事を任されたから、20組ほど予約を押さえてほしい」と頼まれたそうです。
元妻自身が幹事として申し込んでいたため、元義父は娘の話を信じて予約を受けたとのこと。さらに「大事な取引先をもてなす」と言われ、料理や記念品まで準備していました。
そのうえ、「接待用の景品を用意するから代金を立て替えてほしい。当日、彼(僕)の父がまとめて精算する」と頼まれ、まとまったお金まで渡していたそうです。
ところが当日、客はひとりも現れず、元妻とも連絡が取れなくなったとのこと。しかし、僕にはまったく身に覚えがありませんでした。
隠されていた真実とは
怒りが収まらない様子の元義父に対し、僕はひとつずつ真実を伝えることにしました。
「その話、おかしいですよ。僕の父は数年前に他界していますから」と言うと、電話の向こうで元義父が「え…?」と動揺しているのがわかりました。
さらに、僕は「僕たちは、もうとっくに離婚しています。娘さんから聞いていないんですか?」と事実を伝えました。
元妻の浮気が発覚したのは数年前のこと。何度も話し合った末、僕たちは離婚届を提出し、それ以降は一切連絡を取っていません。元妻は実家と頻繁に連絡を取っていたわけではなく、両親も娘夫婦の詳しい近況までは把握していなかったようです。そのため、自身の浮気だけでなく、僕と離婚したことすら両親にずっと隠していたのでした。
しかも、すでに他界している僕の父の名前まで持ち出し、「義父がゴルフコンペを開く」と嘘をついていたのでした。僕が事実を説明すると、元義父はしばらく黙りこんだあと、「娘に確認してみる……」と言って電話を切りました。
真実を知った元義父から
数日後、元義父から再び電話がありました。
「この前は本当に申し訳なかった。娘が全部嘘をついていた」とのこと。元義父によると、家族で元妻を問い詰めたところ、僕と離婚していたことを認めたよう。もちろん、僕の父がコンペを開くという話も、元妻が幹事を任されているという話もすべて嘘。どうやら彼女は生活に困り、両親からお金を受け取るために、僕の父の名前を勝手に使っていたようでした。
元義父から謝罪され、僕は「事情がわかったなら大丈夫です」とだけ伝えました。
その後、元妻は両親から厳しく責任を追及され、受け取っていたお金の返還や、嘘によって生じた損失の弁償を求められていると人づてに聞きました。
電話を切ると、妻が心配そうに僕を見ていました。もう大丈夫だと伝えると、ホッとした様子に。
もうすぐ僕たちには新しい家族が増えます。過去のしがらみにとらわれるのではなく、苦しかったときに僕を支えてくれた妻と、これから生まれてくる命を大切にしていきたい。僕は改めてそう心に誓ったのでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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