ママ友の告白で知った、夫の裏切り
ある日、同じ保育園に子どもを通わせているママ友から、突然電話がかかってきました。
彼女は私と同い年のシングルマザーで、以前から子ども同士を遊ばせたり、育児の相談をしたりする仲。電話に出ると、彼女はいきなり妙な質問をしてきました。
「ねえ、ちょっと聞きづらいんだけど……離婚とか考えたことある?」
あまりにも唐突だったため、「全然ないけど……どうして?」と聞き返しました。すると、彼女は信じられないことを口にしたのです。
「実は私、あなたの旦那さんと付き合ってるの♡」
一瞬、何を言われたのかわかりませんでした。「冗談はやめてよ」と返しましたが、彼女は悪びれる様子もなく、話を続けます。
「冗談じゃないよ。私たち、本気なの」
「年収2,000万円の旦那さん、奪っちゃってごめんね♡ 来月には結婚しようって話してるの」
あまりの衝撃に頭が真っ白になり、それ以上は何も聞きたくありませんでした。私は思わず「そう……よかったね」と皮肉を返し、そのまま電話を切ってしまいました。
突然の告白に混乱する一方で、夫の年収が2,000万円という話も事実とは異なり、なぜママ友がそんな金額を口にしたのか見当もつきませんでした。
その後も仕事や家事をこなそうとしましたが、彼女の言葉が頭から離れませんでした。
まさか夫が不倫していたなんて、しかも相手が顔見知りのママ友だったなんて……。何かの間違いであってほしいと思いながら、夫の帰宅を待ちました。
その日の夜、子どもたちが寝たあと、夫にママ友からの電話の内容を伝えた私。
「今日、保育園のママ友から電話があったんだけど。あなたと付き合っているって言ってた。どういうこと?」
すると、夫は明らかに動揺し、私と目を合わせようとしませんでした。「いや、それは……」と言葉を濁すばかりで、はっきりと否定しようともしなかったのです。
その様子を見て、私はママ友の話が単なる冗談ではないのだと悟りました。
感情のままに問い詰めても、冷静に話し合うことはできそうにありませんでした。そこで私は、後日改めて話し合いたいと夫に伝えることに。
数日後、夫には仕事の都合をつけてもらい、私も仕事を調整。ママ友にも連絡して、子どもたちが保育園に通っている時間に3人で話すことにしたのです。
不倫を認めた夫から、まさかの離婚要求
約束の時間になり、ママ友が自宅にやってきました。リビングで向かい合って座ったものの、最初は誰も口を開こうとしません。
重苦しい沈黙に耐えかねた私は、意を決して切り出しました。
「ちゃんと本当のことを話して。2人は不倫関係なの?」
すると、夫は小さくうなずき、「ごめん」と謝りました。そして、しばらく黙り込んだあと、信じられない言葉を口にしたのです。
「自分から話さなきゃいけないとは思ってた。でも、どうしても言い出せなかったんだ。……離婚してくれ」
10年間連れ添った妻と、まだ幼い双子がいるにもかかわらず、夫はあまりにも簡単に離婚を求めてきました。
隣に座っていたママ友も、申し訳なさそうな表情を浮かべながら口を開きました。
「私が悪いことをしたのはわかってる。でも、私たち、本気なの」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥から怒りがこみ上げてきました。しかし、ここで取り乱したところで、夫の気持ちが戻るわけではありません。
それ以上に、私が考えなければならなかったのは、子どもたちのことでした。
「そこまで言うなら、私も離婚を考える。ただし、きちんと責任は取ってもらうから」
私はそう告げ、今後の生活や子どもたちについて話し始めました。
「子どもたちは私が育てたいと思ってる。あなたはどう考えてるの?」と尋ねると、夫はしばらく考え込んだあと、うつむいたまま答えました。
「……今までだって、育児はほとんどお前に任せきりだったし。子どもたちにとっても、そのほうがいいと思う」
その言葉に、私は心底がっかりしました。夫は、子どもたちと離れて暮らすことさえ、あっさり受け入れようとしていたのです。
すると、ママ友が横から口を挟んできました。
「私は親権については口を出すつもりはないよ。これからは彼と新しい家庭を築いていこうと思ってるから」
まるで自分たちの新生活がすでに決まっているかのような口ぶりに、私はあきれました。そもそも、離婚やうちの子どもたちの今後について、ママ友に決める権利はないのです。
私はママ友には取り合わず、夫に向かって「今後のことは弁護士に相談してから決める」とだけ伝えました。
話し合いを終えたあと、私は両親に事情を説明し、しばらく実家に身を寄せられないか相談。突然の話に両親も驚いていましたが、快く受け入れてくれました。
そして、数日かけて仕事や保育園のことを調整し、必要な荷物をまとめて、子どもたちと一緒に実家へ移ったのです。
その後、弁護士に相談し、夫との離婚条件について協議を進めました。
夫が不倫関係を認めていたことに加え、夫婦のやり取りなども確認してもらいながら、夫とママ友に請求する慰謝料について交渉。子どもたちの今後についても、これまでの養育状況や生活環境を踏まえて話し合いを重ねました。
最終的には、私が子どもたちと暮らし、日常の養育を担うことに。離婚後の親権や養育費の負担、慰謝料についても、弁護士を交えて取り決めました。
こうして数カ月後、ようやく離婚が成立したのです。
元夫の本当の年収を知り、動揺するママ友
離婚が成立してから数週間後――。
思いがけない人物から連絡がありました。元夫の不倫相手だったママ友です。ママ友は電話口で、「どうしても確認したいことがある」と言い出しました。
私はもう関わりたくありませんでしたが、あまりに必死な様子だったため、ひとまず話だけ聞くことに。すると、ママ友はいきなり驚くような質問をしてきたのです。
「ねえ、彼の年収って本当に2,000万円なの?」
最初の電話では、夫の年収が2,000万円だと信じきっていたママ友。どうやら、ようやくその金額を疑い始めたようです。
「そういえば、この前もそんなこと言ってたよね。でも、私が知っている限り、年収は500万円ちょっとだったけど……」
すると、電話の向こうで彼女が息をのむ気配がしました。
「うそでしょ!? 彼、年収2,000万円って言ってたのよ! だって、あなたたち、すごくいい暮らしをしてたじゃない!」
そこでようやく私は、最初の電話でママ友が夫の年収を強調していた理由がわかりました。彼女は夫の高収入を当てにしていたのです。
たしかに、私たち家族は生活に困ることなく暮らしていました。しかし、それは夫の収入が高かったからではありません。
私は出産前から大手企業で働いており、双子が生まれてからも在宅勤務を継続。昇進もしていたため、家計の多くを私の収入で賄っていたのです。
一方、元夫は浪費癖があり、自分の収入の多くをブランド品や趣味に使っていました。そのため、共働きにもかかわらず、貯蓄はそれほど多くありませんでした。
それでも、外食や旅行を楽しむ余裕はあり、元夫自身も高価なブランド品を身につけていたため、周囲からは裕福な家庭に見えていたのでしょう。
どうやら元夫は、そんな暮らしぶりをすべて自分の稼ぎによるものだと、ママ友に見栄を張っていたようでした。
「そんなの聞いてない! 私、彼なら余裕のある生活をさせてくれると思ってたのに!」
ママ友は興奮した様子で、次々と不満を口にしました。
話を聞くと、離婚後、元夫とママ友とその子どもは一緒に暮らし始めたものの、想像していた生活とは大きく違っていたそうです。
元夫にはまとまった貯金がなく、毎月の収入も彼女が聞いていた金額には到底届きませんでした。さらに、離婚に伴う慰謝料の支払いや、双子の養育費の負担も……。
「彼、最初は『貯金はないけど、稼ぎは十分あるから心配するな』って言ってたのよ! なのに、全然話が違うじゃない!」
私は思わずため息をつきました。
「私たちがどんなふうに家計をやりくりしていたかなんて、あなたには関係ない話でしょ。元夫が年収について嘘をついていたなら、本人に言ってよ」
すると、ママ友はしばらく黙り込んでしまいました。そして、ぽつりとつぶやいたのです。
「こんなはずじゃなかった……。もっと幸せになれると思ってたのに……」
その言葉を聞いても、私は同情できませんでした。
私や子どもたちの気持ちを考えず、不倫関係を続けたうえに、自分たちの将来を優先しようとしていたのはママ友たち自身だったからです。
「もう離婚は成立したし、私から話せることは何もないよ。これからのことは2人で話し合って」
私はそう伝え、電話を切りました。
その後、ママ友から連絡が来ることはありませんでした。いつの間にかママ友の子どもも別の保育園に転園したようで、送迎時に顔を合わせる機会もなくなりました。
子どもたちとの新しい生活
離婚後、私は両親の協力を得ながら在宅勤務を続け、子どもたちとの生活を少しずつ立て直すことに。
最初のうちは、突然変わった生活環境に双子も戸惑っていましたが、祖父母と過ごす時間が増え、次第に笑顔を見せてくれるようになりました。
私自身も、夫の裏切りを思い出して落ち込む日がありました。しかし、子どもたちと穏やかに過ごすうちに、少しずつ前を向けるようになりました。
元夫とママ友がその後どうなったのか、詳しいことは知りません。ただ、あれほど自信満々だった2人が、お互いに都合のいい姿しか見ていなかったのだと思うと、何とも複雑な気持ちになりました。
今回の出来事で、夫婦の信頼関係がいかに大切だったのか、改めて痛感しました。
これから先、子どもたちと暮らしていくなかで大変なこともあるかもしれません。それでも、自分たちの生活を大切にしながら、親子3人で笑って過ごせる毎日を築いていこうと思いました。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。