こんにちは! 助産師のREIKOです。近年、帝王切開での出産の割合が増加しています。主な理由として高齢妊娠や不妊治療による多胎妊娠が増加しているためです。お産の流れ同様、帝王切開の流れってイメージしにくいですよね。そこで、今回からシリーズで帝王切開のお話をしたいと思います。
そもそも帝王切開って?
帝王切開は、お産の際にママのおなかにメスを入れて、赤ちゃんを直接取り出すお産の方法です。
どうして「帝王」切開といわれているのか、ちょっと不思議ですよね。ローマの皇帝、ジュリアス・シーザーが帝王切開で生まれたから、ドイツ語を日本語に訳す際に間違って訳されたなど、いろいろな説があるようです。
帝王切開には、あらかじめ手術の日程を決めておこなう「予定帝王切開」と、ママや赤ちゃんの状態が悪くなったり、お産の経過中に自然分娩が難しいと判断された場合など、お産を急がなければならないときにおこなわれる「緊急帝王切開」とがあります。
予定帝王切開になるケースって? 【ママ側の要因】
予定帝王切開になるケースで最初に思い浮かぶのは、逆子ちゃんのケースでしょうか? ほかにも帝王切開になるケースはいろいろあります。
◆前のお産が帝王切開だった場合
◆子宮筋腫など子宮の手術をしたことがある場合
このようなケースは、陣痛で子宮の壁にストレスがかかり、子宮破裂のリスクがあるため、帝王切開が選択されます。
◆前置胎盤の場合
胎盤が子宮の入り口にかかっている状態のため、経腟分娩(ママの産道を通って赤ちゃんが生まれてくるお産)はできません。
◆児頭骨盤不均衡の場合
赤ちゃんの頭に対してママの骨盤の大きさが小さいため、赤ちゃんが下りてこられません。
◆感染症がある場合
ママが性器ヘルペスやHIV(ヒト免疫不全ウイルス)など、赤ちゃんが産道を通ってくることで感染するリスクが高いケースは帝王切開が選択されます。
◆そのほかの合併症
ママが心疾患など合併していて、帝王切開の方が安全と判断される場合もあります。
予定帝王切開になるケースって? 【赤ちゃん側の要因】
ママ側の要因だけでなく、赤ちゃん側の要因で予定帝王切開になるケースもあります。
◆逆子の場合
逆子ちゃんの場合、条件がそろえば経腟分娩も可能ではありますが、米国産婦人科学会の勧告を受けて、経腟分娩が可能なケースでも、ほとんどの施設で帝王切開が選択されているという現状があります。
逆子ちゃん以外にも、赤ちゃんが横を向いていたり、斜めだったりするケースも経腟分娩が難しいので帝王切開が選択されます。
◆多胎の場合
多胎妊娠の場合、赤ちゃんの体重や赤ちゃんの向きなどから判断されます。
◆巨大児の場合
赤ちゃんが大きすぎる場合も、下りてこられなかったり、お産の途中でトラブルが生じる可能性があるために、あらかじめ帝王切開が選択されるケースがあります。
緊急帝王切開になるケースって?
緊急帝王切開になるケースもさまざまですが、ママと赤ちゃんの状態によって緊急度もさまざまです。陣痛に耐えて耐えて頑張ったけれど、これ以上はお産が進まないと判断された場合や破水してからの時間が長く、感染の兆候が強く出ている場合など帝王切開に切り替わるケースがあります。
また、赤ちゃんの心音が低下して戻らない、胎盤が剥がれかけている、重症妊娠高血圧症候群のママがけいれんを起こした……というような場合は、「時間との勝負!」と言っても過言ではありません。そのような状況では緊急帝王切開になるケースが多いと言えます。
お産は何が起こるかわかりません。でも、何が起きてもすぐ対応できるようにスタッフも準備しています。次回は、帝王切開の実際の流れについてレクチャーしたいと思います。
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