数カ月ぶりに帰宅した多恵子さんを迎えたのは、息子の律郎でした。「当然だろ、ママの家じゃん」と言われ、まだ自分の居場所があったことにほっとする多恵子さん。
律郎が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、多恵子さんは家出の真相を打ち明けます。夫に一泊旅行を反対されたことをきっかけに、家族3人の世話をいつまでも自分だけが担うことに、不満が爆発してしまったというのです。
家を離れてからは、自由で楽しい時間を過ごせたという多恵子さん。そして今回は、完全に家を出るつもりで戻ってきたと律郎に告げて……。
息子からの思いがけない言葉に涙














突然いなくなったことを謝り、「そろそろママ業を引退したい」と本音を打ち明ける多恵子さん。すると律郎は、ママがいない間に掃除や料理を覚え、家事を分担するようになったと話します。さらに、自信がついたことで、以前から希望していた県外の企業を目指して就職活動を進めていることも明かしました。
萌香も同棲のため家を出たと知り、驚く多恵子さん。律郎は姉のことも心配しなくて大丈夫だと伝え、さらに「ママは俺たちの母親であって、パパの母親じゃない」と、夫の世話まで背負う必要はないと諭します。息子の成長と思いやりに触れた多恵子さんは、思わず涙を流すのでした。
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家族のために長年頑張ってきた人ほど、「自分がいなくなったら、この家はどうなるんだろう」と心配になってしまうことがありますよね。けれど、誰かが何でもやってくれる環境では、家族も自分でやろうとする機会を失ってしまうのかもしれません。手を離してみて初めて、相手ができるようになることもあるはずです。
家族を大切にすることは、すべてを引き受けることではありません。相手の力を信じて任せることも、思いやりのひとつ。親だから、妻だからと自分の気持ちを後回しにせず、それぞれが自分のことを自分で担える関係でいたいですね。
紙屋束実
