「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。そのなかから特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回はケイツーシロップの内服に関するご相談です。
Q.退院したらシロップが足りませんでした
生後2カ月の男の子を育てています。生まれた病院では、ケイツーシロップは3回飲むと言われていたのですが、退院してすぐに肺炎にかかり入院しました。その病院では、ケイツーシロップは13回飲むみたいで毎週飲ませてたのですが、退院したらシロップが足りませんでした。ちょっと遠くの病院なのでもらいにいくのも大変です。ケイツーシロップを10回しか飲んでいませんが、大丈夫ですか?
在本祐子助産師からの回答
ケイツーシロップは、赤ちゃんがビタミンK不足による出血傾向を引き起こさないようにするための内服薬です。日本小児科学会のガイドラインでは、原則3回投与とされています。ですが、昨今医師の判断や産院の方針により10回前後の内服を選択しているところも増えています。ですので、3回投与は適切であり、問題はありませんよ。万が一、血便があるなど心配があれば小児科医師にご相談くださいね
※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー
※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください
新生児期に不足しやすいビタミンK
ビタミンKは、出血を止める蛋白質(凝固因子)を作るのに必要なものです。このため、ビタミンKが不足すると、出血が止まりにくくなります。
通常は、腸の中の細菌が作ったビタミンKを利用して出血を止めるのに役立てますが、母親のおなかの中にいる間、胎児の腸には細菌がなくてビタミンKを作り出すことができないので、胎盤を通して母親から受け取ります。しかしながら、ビタミンKは胎盤を通りにくいため、生まれたばかりの赤ちゃんの体内に十分な量が蓄えられていません。生まれてすぐ腸内に十分な量の細菌が増えるわけではないため、ビタミンKを補わないと不足します。赤ちゃんはビタミンKが不足すると、消化管出血や脳出血を起こすことがあります。
日本国内の産科施設では、赤ちゃんにビタミンK2シロップを予防的に投与して、出血を予防します。
赤ちゃんの体内のビタミンKを補うためにできること
生まれたての赤ちゃんはビタミンKが不足しやすいので、ビタミンK2シロップを医師の指示どおりに飲ませましょう。親の判断で飲ませることをやめないでください。
育児用ミルクにはビタミンKが添加されているので、主に育児用ミルクだけで育つ赤ちゃんや授乳の半分以上を育児用ミルクで補っている赤ちゃんはビタミンK不足の心配ありませんが、母乳だけで育つ赤ちゃんは、母乳に含まれるビタミンKが少ないため、出血性疾患を予防するためにビタミンKを補う必要があります。母親がビタミンKを多く含む食品を食べることで、母乳中のビタミンKの濃度が高くなることがわかっています。母乳だけで育てている場合は、母親がビタミンKを多く含む食品を食べるように心がけましょう。ただし、母親が血液を固まりにくくするお薬(例:ワーファリン)で治療中の場合は、お薬の効果を弱めてしまうため、ビタミンKを多く含む食品を食べることは避けましょう。
【ビタミンKを多く含む食品】
卵(特に卵黄)
緑黄色野菜(ほうれん草 ブロッコリー パセリ 三つ葉 春菊など)
乳製品(バター マーガリン チーズ ヨーグルト)
肉類(鶏肉 牛肉 豚肉の順に多い)
納豆
これらの食品を食べることで赤ちゃんの出血を予防できるとはいえませんが、産後の食事は栄養バランスが偏りやすいため、母親の食事を見直すときのヒントにしてください。
※参考:基礎知識(ベビー)「【医師監修】新生児メレナ、新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症ってどんな病気?」【監修者:医師 松井 潔 先生小児科 | 神奈川県立こども医療センター総合診療科部長】
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