え!? 何のために? どうしてそんなことするの?って思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、この採点、生まれてきた赤ちゃんの状態を評価するためにとても大切なんです。
Apgar score(アプガースコア)とは!?
生まれたばかりの赤ちゃんを採点するときに用いられるのが、「Apgar score(アプガースコア)」です。アプガースコアは、簡単にいうと、生まれてきた赤ちゃんの元気度をはかるもので、10点満点中何点かをみていきます。
アプガースコアは、アメリカの医学者、バージニア・アプガー氏によって導入された方法で、皮膚色(Appearance)・心拍数(Pluse)・刺激に対する反射(Grimace)・筋緊張(Activity)・呼吸(Respiration)の5つの項目を評価していきます。ちなみにこれらの評価項目、アプガー氏の頭文字になっているんですよ。
アプガースコアが何点ならいいの?
アプガースコアは、通常赤ちゃんが生まれて1分後と5分後に採点していきます。赤ちゃんが元気であれば、アプガースコアの点数は10点に近くなり、赤ちゃんが苦しい状態だと10点から離れていきます。
アプガースコアの合計点数が7~10点であれば正常範囲、4~6点であれば第1度(軽症)新生児仮死、0~3点であれば第2度(重症)新生児仮死と診断されます。
1分後より5分後!?
1分後のアプガースコアが低くても、5分後、正常範囲内であればひと安心ですが、状態が変わらない、あるいは1分後より点数が下がっているという場合は、その後の赤ちゃんの状態に大きな影響を及ぼす可能性もあるので、NICUでの管理が必要になることが多いです。
そのため、5分後のアプガースコアが7点未満の場合は、その後も採点を続けることもありますし、アプガースコアが正常範囲内になるまで、どのくらいの時間がかかったというのも重要なポイントです。
この点数、ママに知らされる?
すでに出産経験のあるママは、母子健康手帳をご覧になってみてください。アプガースコアが書いてある方と、そうでない方がいらっしゃると思います。アプガースコアの点数は、カルテや助産録などには記載しないといけないのですが、母子健康手帳に必ず記載しなければならない項目ではないので、記載されていない場合もあります。ちなみに、私が働いていた病院はアプガースコアを母子健康手帳に記載しない方針でした。
アプガースコアは、信頼のおける指標として使われているものですが、この点数がすべてというわけではありません。赤ちゃんの皮膚色なんかは、人によって若干ズレが生じてしまうことも事実です。私の場合、NICUでの勤務が長かったせいか、アプガースコアをつけると、「厳しいなー」って、よく産科の医師に言われていましたよ。
赤ちゃんが生まれたあと、産院のスタッフが「1分後、何点?」「カラー(皮膚色)マイナス1で、9点!」……というふうに話しているのが聞こえるかもしれません。お産直後でそれどころではないかもしれませんが、気になるママは耳を澄ましてみてください。
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