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出産時にラミナリアを使用する理由。挿入の痛みや挿入後の過ごし方

この記事ではラミナリアについて、医師監修のもと解説します。分娩誘発や流産の処置をおこなうとき、事前にラミナリアという素材を使って子宮頚管を広げる処置をすることがあります。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師浅川 恭行 先生
産婦人科 | 医療法人 晧慈会 浅川産婦人科 理事長

1993年 東邦大学医学部卒業、1999年 東邦大学大学院医学研究科博士課程修了。浅川産婦人科の院長を務めるほか、日本産婦人科医会 幹事、東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科学講座 客員講師、鶴見大学歯学部 産婦人科学講座 非常勤講師として活躍。
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出産のイメージ

 

分娩誘発や流産の処置をおこなうとき、事前に「ラミナリア」という素材を使って子宮頸管を広げる処置をすることがあります。今回はラミナリアの使用目的やラミナリア挿入後の過ごし方など、処置を受ける前に知っておいてほしい予備知識をまとめました。

 

ラミナリアとは?

ラミナリアは子宮頸管を広げる処置(子宮頸管拡張術)の際に使用する5cm前後の長さの硬い棒状の素材です。原料は天然の昆布の茎根部で、サイズによって長さや太さが異なります。ラミナリアを子宮頸管の中に挿入すると、体内の水分を吸収して12時間ほどで2~3倍の太さに膨らみ、子宮頸管を広げます。

 

子宮頸管を広げる処置には、金属性の拡張器を用いて速く広げる方法とラミナリアなどを用いてゆっくりと広げる方法があります。ゆっくりと広げる方法では、ここ最近ラミナリアより短い時間で子宮頚管を広げることができる「ダイラパン」や「ラミセル」というものが用いられるようになってきています。

 

ラミナリアを使用する目的は?

ラミナリアは以下のようなときに使います。

 

流産手術や人工妊娠中絶をおこなうとき

流産してしまったケースや人工妊娠中絶をおこなうとき、胞状奇胎(※)と診断されたときなど、子宮の中をきれいにする処置(子宮内容除去術)が必要になります。その前段階の処置として、子宮頸管を広げるためにラミナリアを挿入します。
※胞状奇胎:胎盤の中にある絨毛が変化し妊娠継続ができない病気。

 

分娩誘発をするとき

出産が近づくと子宮頸管は徐々にやわらかくなっていきます。しかし、おなかの中で赤ちゃんが亡くなってしまった場合など、妊娠中期に出産を余儀なくされるようなケースや分娩誘発をおこなう場合には、陣痛促進剤を使用する前の処置としてラミナリアを挿入し、子宮頸管を広げることがあります。

 

ラミナリアを挿入するときの痛みと挿入後の痛み

閉じている子宮頸管を広げるために、5cm前後の長さの堅い棒状の素材を子宮頸管に挿入すると聞くと、やはり痛みがあるのか気になってしまうかもしれません。

 

ラミナリアを挿入する処置の際に子宮の入り口を子宮腟部鉗子でつまむのですが、このとき、人によっては、「ちくっ」「ズキッ」と痛みを感じる場合もあります。


そして、ラミナリアの挿入はゆっくりおこないますが、やはり人によっては痛みを感じる場合があります。挿入後の痛みは、腟の中に何かが挟まっているという違和感を覚える程度の方から、チクチクやズーンとした痛み、生理痛のような下腹部の痛み、痛み止め(※)が必要になる方まで、やはり人それぞれです。誘発分娩の方はラミナリアを挿入した刺激で、陣痛が来る場合もあります。

※誘発分娩の方には使用しません。

 

ラミナリア挿入後の過ごし方について

ラミナリア挿入後の過ごし方について、施設によって若干異なる部分もありますが、参考にまとめました。

 

性器出血について

ラミナリアを挿入した後、子宮頸管が広がるにつれて少量の性器出血が起こりますので、入院時には使い慣れているナプキンを持って行きましょう。

 

鎮痛薬や抗生物質の内服について

流産などでラミナリアを挿入している間は、痛みや違和感が伴うことが多いため、鎮痛薬が処方されます。痛みの程度には個人差があります。痛みを感じたまま抜去する時間をひたすら待つのはつらい状況ですので、遠慮なく医師や助産師、看護師へ処方について相談しましょう。また、ラミナリア本体は滅菌されていますが、母体にとっては異物であるため、必要に応じて抗生物質が処方されます。

 

水分摂取や点滴について

子宮内容除去術の前は、飲んだり食べたりできなくなるので、点滴をおこないます。
分娩誘発の場合の飲食については、状況によって異なりますので、担当の医師や助産師からの指示に従いましょう。

 

歩行について

ラミナリアを挿入したあとも、自力で歩くことは可能です。しかし痛みや違和感が強かったり、鎮痛薬の効果が表れるまでの間は、ひとりで歩くことが不安定なこともあります。助産師や看護師が歩行に付き添い、状況によっては車椅子での移動をサポートしますので、遠慮せず相談しましょう。点滴がつながっている場合、点滴台を杖のように支えにして歩行する方も見受けますが、転倒する危険性がありますので、無理はせず、助産師や看護師へ付き添いを依頼しましょう。

 

トイレやシャワーについて

ラミナリア挿入中でも、普段どおりトイレで排泄することが可能です。痛みや違和感があり、排尿や排便がしにくく感じる場合は、助産師や看護師へ相談しましょう。
 

ラミナリアを挿入した後は感染予防のためにシャワーや入浴ができなくなります。ラミナリアを挿入する処置は、ラミナリアが膨らむ時間をふまえておこないますので、入院後のシャワーのタイミングについては入院当日に助産師や看護師へ相談しましょう。

 

まとめ

今回は、ラミナリアが用いられる理由や心構えとして知っておいてほしい知識についてまとめてみました。子宮頸管拡張について説明を受けたときに、ぜひ参考にしてください。

 

参考:

・日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン産科編2017

・日本ラミナリア株式会社「ラミナリア桿
・『最新産科学 正常編』(著:荒木勤/文光堂)
・『最新産科学 異常編』(著:荒木勤/文光堂)

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

 

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