赤ちゃんの便秘のついては、ママから相談が多い項目の一つです。特に離乳食が始まるころに多くみられます。今、日本の子ども(3歳〜8歳)の約20%(5人に1人)が慢性便秘といわれていて、子どもの便秘が深刻な問題として注目されています。これは、赤ちゃん時代から始まっていることが多いそうです。
今回は、赤ちゃんの便秘予防についてお話ししていきます。
赤ちゃんの便秘とは?
生まれたばかりの赤ちゃんは、うんちを腸にためる機能が未発達なので、母乳や育児用ミルクを飲むたびに腸の働きの反射でうんちが出ます。生後1カ月ころから、大腸に少しずつためられるようになり、排便回数も少しずつ減っていくといわれていますが、個人差が大きいです。
排便は1日1回が良いですが、自然に排便が出る状態で、3日に1回ぐらいまでならあまり気にしなくていいといわれています。しかし、3日に1回の排便が1カ月以上続いたり、臭いうんちが続いたり、排便するときに長時間(3分以上)苦しそうにいきんで出すようであれば注意が必要です。
赤ちゃんに多い便秘は、食事量や水分の不足が原因の大腸性便秘よりも、おしりの出口付近でうまく出せずにたまってしまう直腸性便秘が多いといわれています。便が長時間たまると、硬くなって出しづらくなったり、臭いがきつくなることがあります。
母乳や育児用ミルクを飲んだり、離乳食を食べて大腸が動いてうんちを押し出そうとしても、出口付近の直腸に硬い便があると押し出せずに、不快や痛みを感じて不機嫌になったり泣いてしまうこともあります。
離乳食が始まるとなぜ便秘になりやすい?
離乳食が始まって固形物を食べるようになると、だんだん固形に近いうんちになっていきます。このころには、腸にうんちをためれるように機能が発達してきます。しかし、硬い便が続いて、排便時に肛門が痛かったという思いをすると、排便が怖くなったり、いきむのをしなくなったりします。
直腸は本来は空っぽで、うんちが降りてきて直腸の壁を押し広げたときに便意が起こります。しかし、慢性的な便秘によっていつもうんちが直腸にある状態になると、便意の感覚が鈍ってしまうことがあり、数日分のうんちがたまってやっと便意を感じるようになります。量が多く硬くなったうんちを押し出すのは赤ちゃんにとっては難しいこともあります。
排便習慣をつけるために試してほしいこと
おなかのマッサージや水分や食事量を増やしたり、乳製品など腸の動きを良くする食品を食べても、赤ちゃんの便秘は改善されないことがあります。直腸に便をため過ぎないように、排便のサイクルをつくることが大切です。授乳や離乳食の後や、おならがあったり、いきみはじめたり、腸が動く音が聞こえたら、縦抱きにしたり座らせたりして腹圧をかけやすくします。
2日以上出なかったり、おなかが張っている感じがあれば、綿棒浣腸で直腸にたまった便を出すようにしてあげましょう。綿棒浣腸の方法は、ワセリンやベビーオイルなどを綿棒の綿の部分につけ、肛門に綿の部分を1〜2cm挿入し、肛門を外側に少し押し広げるように圧をかけながら円を描くようにゆっくりと数回綿棒を回します。
便を出しにくそうな場合は、おむつを外したり、おまるやトイレに支えて座らせたりするとすっきり出せることがあります。
上記を試しても、排便が3日以上なく、授乳や食事後に吐いてしまう、おなかが張って苦しそうで機嫌が悪いなどあればかかりつけ医を受診ましょう。
便秘は赤ちゃん時代から始まっていることが多く、自我が芽生えてくる3歳ぐらいまでに排便のリズムをつくることが大切です。成長・発達と共に改善していくこともありますが、離乳食が進んでいっても、排便がスムーズに見られない場合は、かかりつけ医に相談してみてもいいかと思います。
<参考>
言叢社 中野美和子著「赤ちゃんから始まる便秘問題」
「赤ちゃんのウンチ講座ー排便と便秘を学ぼうー」(和田智代・2020年)