こんにちは! 助産師のREIKOです。胎盤と赤ちゃんをつなぐ「へその緒」ですが、赤ちゃんにからまってしまうことがあります。このへその緒が赤ちゃんにからまってしまっている状態を、「臍帯巻絡(さいたいけんらく)」と言います。へその緒が赤ちゃんにからまっている……なんて聞いたら、ママは心配になってしまうのではないでしょうか? そこで今回は、臍帯巻絡についてお話ししたいと思います。
臍帯巻絡の原因は!?
胎動に影響されるという話もありますが、へその緒の長さは、だいたい50cmくらい。しかし、なかにはそれよりへその緒が長い赤ちゃんもいます。
へその緒の長さが通常より長い場合は、やはりへその緒がからまりやすい状態であり、へその緒が通常の長さであっても、胎動が活発な場合はへその緒がからまりやすい状況にあると言えます。
臍帯巻絡が起きる頻度は、すべてのお産のなかの20~25%と言われています。ですので、お産を扱う助産師にとって臍帯巻絡はめずらしいことではないんですよ。
臍帯巻絡があった場合、赤ちゃんは大丈夫なの?
臍帯巻絡は、赤ちゃんの首にへその緒が巻きついている状態が多く見られます。時には、足首にからまっていたり、肩にたすき掛けのようにからまっていることもあります。いずれも、1周巻きついていることがほとんどですが、2周、それ以上……ということもあります。
へその緒が赤ちゃんの首にからまっていると、へその緒で首が絞められて苦しいのでは!?と思ってしまうかもしれません。でも、おなかの中の赤ちゃんは自分で呼吸をしていませんので、赤ちゃんの首が絞まって苦しいということはないのですが、へその緒の血流が妨げられてしまうと、酸素が届かなくなって苦しくなってしまうということはあります。
臍帯巻絡があるっていつわかるの?
臍帯巻絡は、妊婦健診でおこなわれる超音波検査でわかることがあります。臍帯巻絡があるとわかっている場合は、臍帯巻絡の状況やへその緒の血流、赤ちゃんの成長など、慎重にチェックしていましたよ。
臍帯巻絡の多くは、特に症状もなく赤ちゃんに影響を及ぼさずに経過することが多いです。しかし、お産の経過中、胎児心拍モニタリングの波形を見ると、臍帯巻絡があるかも……と予測できることがあります。
臍帯巻絡があった場合、お産ってどうなるの?
私が病院で働いていたときには、臍帯巻絡があるという理由で最初から帝王切開になるケースはなかったように思います。しかし、へその緒がおなかの中の赤ちゃんにきつくからまっていて、ママの産道を通って赤ちゃんが生まれてくる経腟分娩が難しいと判断されたり、経腟分娩の経過中、おなかの中の赤ちゃんに苦しいサインが出た場合は、帝王切開になることもありました。
助産師は、分娩介助の際、赤ちゃんの頭が出たあと、必ず赤ちゃんの首に臍帯巻絡がないか、自分の指先の間隔で確認します。そして、臍帯巻絡がある場合は、首に巻きついたへその緒をゆるめてから、赤ちゃんが生まれてくるのを助けます。私は経験したことがありませんが、臍帯巻絡がきつくて、へその緒をゆるめることができない場合は、へその緒を先に切断することもあります。
おなかの中の赤ちゃんには、できるだけ苦しい思いをしないで生まれてきてほしいと、ママは思うことでしょう。しかし、臍帯巻絡の場合、予防する方法も妊娠中に治療する方法もないんです。臍帯巻絡は、私たち、産科スタッフにしてみればめずらしいことではありませんが、やはり不安に思ったり、心配だったりしたら、かかりつけ医や助産師に相談してみてくださいね。
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