「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。そのなかから特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、妊娠中の仕事に関するご相談です。
Q.倉庫内作業をしていますが、妊娠前と扱いが変わりません。
現在、妊娠18週です。倉庫内作業の仕事をしています。会社の人には妊娠したことは伝えてあるのですが、妊娠前と扱いが何も変わりません。残業は当たり前で、いまだに毎日15kgくらいの荷物を持ちます。そのせいもあるのかはわからないですが、最近よく下腹部が張って痛くなるので不安です。安静にしたくても作業を抜けて休憩を取れる状況ではありません。出血はないのですが、不安なので病院で相談したいと思っています。このようなことを医師に相談してもよいのでしょうか。
宮川めぐみ助産師からの回答
妊娠されたことを伝えてみても業務内容に変更がないのですね。下腹部に張っているような痛みを感じることもあるということで、不安になりますね。かかりつけの先生にご相談されてみてください。そして先生に母体健康管理指導事項連絡カードを書いてもらうよう相談をされるといいと思います。切迫流産の徴候などがないか先生に確認していただき、業務内容の見直しの必要があると判断されると、そのカードに内容を記載してくれます。それを会社に提出をすることで、会社は業務内容の見直しをする義務が出てくるようになりますよ。
※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー
※診断や具体的な治療については医師の指示にしたがってください
母性健康管理指導事項連絡カードって何?
母性健康管理指導事項連絡カードは、主治医等がおこなった指導事項の内容を妊産婦である女性労働者から事業主へ的確に伝えるためのカードで、診断書に代わる正式な書類として扱われます。
ほとんどの母子健康手帳に母性健康管理指導事項連絡カードの様式が載っているので、見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。実際には厚生労働省ホームページや「女性にやさしい職場づくりナビ」からダウンロードして使用します。このカードに必要事項(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置が必要な場合には、母性健康管理指導事項連絡カードの裏面にある「特記事項」の欄に指導内容を記入する予定)を記入してもらい、事業主に提出すると、事業主は母性健康管理指導事項連絡カードの記入事項にしたがって時差通勤や休憩時間の延長などの措置を講じます。措置の具体的な内容は、産業医等の助言に基づき、女性労働者と話し合って定めることが望ましいとしています。
母性健康管理指導事項連絡カードの提出がない場合でも、申し出の内容などが明らかであれば事業主は必要な措置を講じる必要があります。しかし、申し出の内容が不明確な場合には、事業主が申し出た方を介して主治医などに連絡をとるなどの対応の必要性が出てきます。指導内容を事業主に的確に伝えるためにも、「母性健康管理指導事項連絡カード」の活用を厚生労働省でもすすめています。
働く女性は年々増加しており、雇用者全体に占める女性の割合も年々高くなっています。しかし、少し古いデータですが、女性労働協会が2007年におこなった「事業所における妊産婦の健康管理体制に関する実態調査」によると、妊娠中の女性労働者の母性健康管理上の措置を周知している事業所の割合は 49.2%にとどまり、約半数の事業所は特に何もしていないと回答していました。また、母性健康管理指導事項連絡カードを備えている事業所は 6.0%で、500人以上の規模でも4割に満たないという結果となっています。あまり喜ばしい状況ではありませんが、これを機にこの措置の認識が広まり、一人でも多くの妊婦さんやママが少しでも安心できる環境で働けることが望まれます。
※参考:ニュース(医療)「【コロナ速報】働く妊婦必読!厚労省が母性健康管理上の措置の指針改定へ」【著者:助産師 REIKO】
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