2020年9月17日、厚生労働省は2020年6月発表の概数に修正を加えた「2019年人口動態統計(確定数)の概況」を、9月25日に「令和2年7月分 人口動態統計速報」を公表しました。
出生数は調査開始以来過去最少
2019年の出生数は86万5,239人で、前の年の91万8,400人から5万3,161人減少しました。出生数は4年連続で減少し、1899年の調査開始以来過去最少となっています。
また、出生率(人口千 対)は7.0 で前の年より0.4低下、合計特殊出生率は1.36 で前の年より0.06低下しました。出生順位別にみると、出生数及び合計特殊出生率ともに、すべての出生順位で前の年より減少・低下しています。
「86万ショック」に国はどう対応する?
出生数が90万人を割り込んだ2019年は「86万ショック」とも呼ぶべき状況であるとされ、少子化の問題はより一層深刻さが増しています。
政府は2020年5月29日に新たな「少子化社会対策大綱」を閣議決定しました。そのなかでは、基本的な目標として「希望出生率1.8(若い世代における、結婚、子どもの数に関する希望がかなうとした場合に想定される出生率)」の実現を掲げ、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組むこととしています。
今後の出生数に新型コロナウイルスの影響は不可避!?
人口動態統計速報によると、令和2年7月の出生数は7万6,785人で、前の月より3,748人増加しました。ですが、2019年の7月の出生数と比較すると、2,272人少なくなっており、1月から7月までの合計で比較しても1万人余り少ない状況で、少子化には歯止めがかかっていない状況と言えます。
7月は新型コロナウイルスの感染者数が再度増加した時期ですが、新型コロナウイルスの感染が日本で初めて確認されたのは2020年1月。今のところ、出生数への影響はありません。しかし、新型コロナウイルスの影響で、妊活や不妊治療を休⽌・延期した、および妊娠を諦めたという人も少なくないようで、今後の出生数に影響が及ぶのではないかと思われます。
新型コロナウイルスの影響により経済状況は悪化し、ワクチン・治療薬もまだ開発途中で、収束の兆しは一向に見えてきません。今月誕生した菅総理大臣は不妊治療の保険適応の実現を掲げ、それまでの間における助成制度の大幅な増額を田村厚生労働大臣に指示したとのこと。少子化の要因はさまざまで、国が取り組むべき施策は多岐に渡ります。「ウィズ・コロナ時代」となるであろう今後、より安全に安心して妊娠・出産・育児ができる環境の整備が望まれます。
※参考:厚生労働省 「2019年人口動態統計(確定数)の概況」「令和2年7月分 人口動態統計速報」