「横隔膜ヘルニアの疑いがある」と言われ…
県外から、妊娠34週に飛行機で里帰りしてきました。里帰り先の産婦人科で切迫早産の診断がおり、胎児が小さめと先生に言われました。そして1週間後、再度妊婦健診を受けると、「胎児に横隔膜ヘルニアの疑いがあるので、明日総合病院で診てもらってください」と言われました。
エコー写真を見ながら淡々と話をする先生の言葉が耳に入ってきませんでしたが、異常があるということだけが頭の中をグルグルまわり、涙が出てきました。 なんで? 自分の子どもが? おなかの中では元気に動いているのに……。
勝手に出てくる涙は止まらず、先生から「ご主人と今後のことを話し合ったほうがいい」と言われ、急きょ、夫に6時間かけて実家にきてもらいました。
帝王切開で出産することに
次の日、総合病院で診察してもらいましたが、やはり病気があるとのこと。「生まれてすぐに治療しないと何かあっては遅いから、帝王切開で産みましょう」と言われ、私も夫も、気持ちの整理がつかないまま日程が決まっていきました。
病気について調べ、どのような予後になるのか体験談なども読んだところ、生後まもなく亡くなってしまう赤ちゃんもいることも知りました。毎晩「ちゃんとおなかの中で育ててあげることができなくてごめんね」と泣いて自分を責めました。
子どもと一緒に頑張ろう
帝王切開当日。たくさんの先生方が手術室に待機していました。無事出産し、産声が聞こえましたが、触れ合えないまま、すぐに保育器でNICUに連れていかれました。
「大丈夫なのかな……」。何もわからないまま、私は病室に戻りました。赤ちゃんの状態は安定しているけれど、横隔膜ヘルニアは手術をしないと治らないため、生後3日目に手術をおこなうことになり、無事終了しました。
その後も胸に水が溜まったりしましたが、なんとか状態が落ち着き、退院のめどがつきました。やっと一緒に生活できる!という喜びもありつつ、少し不安もありますが、子どもと一緒に成長していけたらと思っています。
自分のせいで生まれたばかりの子どもに大きな手術を受けさせてしまって、母親失格だと落ち込んだこともありましたが、子どもの頑張りや成長を見ると、私もそれ以上に頑張らないと!と思わされ、今は情緒も安定し、前向きに考えられるようになっています。
なるべくひとりで考えすぎず、周りの人にも助けてもらいながら、育児ができればと思えるようになりました。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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原案/長里 紗々
作画/やましたともこ
監修/助産師 REIKO