1歳の誕生日は親族を迎えて盛大に
初めて迎える息子の誕生日。当日は総勢17人もの親族がわが家にやってくる予定でした。私は大張り切りで料理を作りました。
テーブルの上には、両親が好みそうな煮物やお魚、豪華なお寿司、冷蔵庫には息子が大好きなキャラクターの最大サイズのケーキを用意しました。親族がいつきてもいいようにスタンバイしていると、父から1本の電話が入りました。
総勢17人分の料理が虚しく…
「叔父が亡くなった」という突然の訃報でした。病気療養中のところ、容体が急に悪化してしまったようでした。60歳という若さでした。わが家にくる予定だった親族は叔父が住む地域へ行くことになり、もちろん誕生日パーティーは中止。叔父の死が信じられなくて、総勢17人分の料理を目の前にして立ちすくむ自分がいました。
私も支度をして、叔父が住む地域へ行かなければなりません。テーブルいっぱいに広がる料理を目の前に、家族3人で手短に1歳の誕生日をお祝いをしました。
生まれる命があれば消えていく命もある
残った料理をタッパーに詰め込み、私も叔父が住む地域へと足を運びました。眠っている叔父の姿を見ると、幼いころによく遊んでくれた記憶ばかりが蘇ります。悲しいことがあったときは、過去の楽しかったことばかりを思い出すと感じました。
誰しも限りある命だということを感じ、息子を大切に育てていきたい。そう強く感じた1歳の誕生日でした。叔父の命日と重なったことも、何か意味があるのかもしれません。今でも息子の誕生日を祝うたび、叔父のことを思い出します。
作画/和田フミ江
著者:田中由惟
一男一女の母。二人目の出産を機に食品会社を退職。現在は子育てのかたわら、記事執筆をおこなう。趣味はスポーツとピアノ、美味しいものを食べること。