こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では8歳、6歳、4歳の子どもを子育て中の3児の母です。今回は子どもの睡眠についてです。日本は睡眠不足大国とも言われるほど睡眠が少なく、それは子どもも同じです。どうやって睡眠時間を確保するか、睡眠不足じゃないかを判断するかをお話しできたらと思います。
子どもはどのくらい寝たらいい?
子どもの睡眠時間の目安は、乳児期(生後6カ月から1歳)で13-14時間、1歳から3歳で11-12時間、幼児期で10-11時間です。睡眠時間が短くなり体内時計が狂ったりすると、 脳や身体の発達に影響を与えると言われています。
具体的には、肥満のリスク因子であることがわかっています。さらに、集中力・記憶力の低下、抑うつなど意欲の低下、イライラといった攻撃性の高まり、落ち着きのなさなどメンタルにも影響します。
身体的には頭痛・肩こり、食欲低下、便秘なども引き起こします。文部科学省の調査では、学生の休日の起床時刻は、平日よりも2時間以上遅いことと、成績不良が関連することが指摘されています。
子どもの情緒や生活習慣に苦労している場合、睡眠時間を見直すというのもいいかもしれないですよね。
どんなときに睡眠時間の見直しをする?
とはいえ、睡眠時間の目安はあくまで目安なので、できれば守った方が安心ですが、絶対に守らなければならないものではありません。なかなか睡眠時間を確保できないとき、睡眠時間を見直す目安にして欲しいことがあります。
①月曜日は元気だけど、金曜日(週末)に向けて疲れてしまう様子がある。週後半になると熱が出るなど風邪症状が現れる
②週末(園が休みの日)に寝坊する
こんな時はもう少し睡眠時間を確保した方がいいなと思ってください。
わが家の睡眠時間のためにしている工夫
私の育児で大事にしていることの一つに「睡眠時間の確保」があります。私はフルタイムで働いていて、夜勤などもあるので帰宅時間が遅くなることもあるのですが、睡眠のために工夫していることがあります。
夕食を作っておく
帰宅が遅くなる日の夜や、子どもがまだもっと小さかったときの夕食は、帰宅したらすぐ出せるようにしていました。前日の夜中や朝に作っておいて、冷蔵庫から出せばあげられる、温めたらあげられる、という感じです。
メニューはシンプルになりますが、帰宅後おなかが減った子どもに余計なお菓子などをあげなくても済みますし、調理時間を時短した分だけ、睡眠時間を長くすることができます。
帰宅が20時以降になるようなおうちでは、夕食を軽食にして、朝食などに重点を置いてもいいかもしれません。
家事は溜めてOKというマイルール
また、子どもを早く寝かせるために「皿洗い、洗濯物などの家事を寝る前にやらなくてもいい」と自分の中で決めました。できたらやるけど、やれなかったら皿洗いや洗濯物はそのまま放置! 寝かしつけのあとにしたり、家族にやってもらったりしました。
夕食と入浴を帰宅後にマッハで済ませて、入浴後少しまったりしたら「はい、寝るよ~!」というスピード感。しつけは全然厳しくないのに、寝ることにだけは厳しいママです(今でも)。
育児で何を大切にするかを決めよう
何度もこの連載で書いていることですが、育児や生活の上で、自分が大事にしたいことを優先順位をつけてみて、ぜひそこを大切にして欲しいなと思います。
私は子どもの睡眠時間を大切にしたいので、調理時間や家事のタイミングを工夫して、子どもがしっかり睡眠できるようにしています。
ほかにも「調理時間を時短して、家族とおいしいごはんをゆっくりお話ししながら食べたい」、「家事を家電にまかせて、家族とのコミュニケーションを重視したい」など、ご家庭によって大切にしたいポイントはさまざまだと思います。
「自分の大切にしたいことをきちんと大切にする生活」が、心も体も落ち着くのではないかと思っています。