出産を経験すると身体の至るところが変化して、以前にはなかった症状が突然あらわれたりすることが多々あります。中でも、産後に生理痛やPMSの症状が重くなった・軽くなったという話はSNSなどでもよく見かけます。
今回は、「産後急にPMSがひどくなった」という事例に対して、その原因と改善策について産婦人科の医師に話を聞いてみました。症状が少しでも改善されますように……!
答えてくれたのは……
よしかた産婦人科 上原萌美先生
日本産婦人科学会専門医。横浜市立大学産婦人科入局後、神奈川県内の病院にて勤務し、現在、よしかた産婦人科・よしかた産婦人科分院綱島女性クリニック勤務。
産後、急にPMSがひどくなるのはなぜ?
「PMSとは、生理前3~10日前からイライラ、怒りやすい、乳房痛、のぼせ、腹満感、下腹痛・腰痛、頭痛などが起こり、生理開始後によくなるものです。約5割のママにPMSがあるという報告があります。
産後にPMSがひどくなるかたはよくいらっしゃいます。原因は分かっていませんが、PMSの重症度は環境(ストレスや生活習慣など)や体質によってかわると言われているので、産後にPMSがひどくなった原因は環境の変化なのかもしれません。また、産後はホルモンのせいで攻撃的になりやすいので、この影響もあるかもしれません」
反対に、産後にPMSが軽くなることはある?
「産後にPMSが軽くなる方もいらっしゃいます。
産後は環境が変化するので、ストレスが減ったり、生活習慣が改善したことでPMSも改善したのかもしれません」
一刻も早く抜け出したい!PMSの治療方法は?
「PMSが重い、日常生活に支障がある場合は産婦人科を受診しましょう。症状を楽にする飲み薬もありますし、相談するだけでも気持ちが楽になることがあります。(授乳中に使用できる飲み薬もあります)
PMSが比較的軽く、日常生活に支障がないという方は、以下のうち出来ることを試してみてはいかがでしょうか。
・症状日記をつける
生理周期のいつ頃に症状が出るか記録してみましょう。毎月のパターンが分かるだけでも気持ちが楽になることがあります。
・定期的な運動をする
定期的な運動を行うと、PMSが改善するという報告があります。運動の種類は、きつすぎない有酸素運動なら何でも良いです。例えばストレッチ、ヨガ、ピラティス、エアロビクス、散歩、いずれも効果があるようです。きつい運動は逆効果なのでやめたほうが良いでしょう。
・ストレスケアをする
ストレスはPMSの大きな原因です。避けられるストレスは避け、楽しい時間やリラックスした時間を作るようにしましょう。例えば、深呼吸、笑う、アロマ、入浴、音楽なども良いでしょう。家族とのスキンシップや親しい人との楽しい会話でも、オキシトシンというホルモンが出てストレスが和らぎます。強いストレスが続くと脳がストレスに弱い状態へと変化し、さらにストレスがかかるという悪循環がおこるので、日頃からストレスケアをすることが大切です。
・栄養バランスのとれた食事をとる
バランスよくいろいろな食材をとりましょう。カルシウム、ビタミンB、マグネシウムなどを含むものをとると良いかもしれません。身体が辛い時はおかずを買ってきたり、誰かに作ってもらっても良いでしょう。
・質の良い睡眠をとる
質の良い睡眠のために、朝は太陽の光を浴び、夜は早めに寝ましょう。寝る前にパソコンやスマートフォンなど使用はなるべく避けてください。まとめて寝られない方は、短時間でも目をつぶって横になりましょう。もし可能なら、お子さんのお昼寝や夜の就寝時に一緒に寝ると良いでしょう。
・家族に理解してもらう
ママがイライラしたり身体が辛くなるなのは、ホルモンの影響です。これを理解してもらうだけでママの気持ちが楽になることがあります」
「孤独」からくる育児ストレス
「昔は大家族や地域とのつながりの中で育児をしてきましたが、現代は核家族が増え地域
とのつながりも薄くなり、孤独な状況におかれるママが増えています。
人間の脳、特にママの脳は、人とのつながりがあると安心しストレスが和らぎ、孤独な状
況だと不安やストレスを感じるようになっていますので、人とのつながりを持ったり、人
の助けを借りながら育児できると良いですね」
以上、産後のPMSの症状について解説してもらいました。
産後に急に症状がひどくなったと感じたら、もしかしたら育児ストレスによるものかもしれません。自分の時間が取れずなかなか難しいとは思いますが、今回先生に提案していただいた改善策の中から、出来ることを少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。