「横隔膜ヘルニア」という先天性疾患を抱えて生まれたお子さんを持つママの体験談をお届けする連載企画です。横隔膜ヘルニアとは、本来胸とおなかの臓器を隔てている横隔膜に生まれつき穴が開いており、その穴からおなかの中の臓器が胸の中に出てきて心臓や肺を圧迫してしまう病気(※)。 おなかの子が横隔膜ヘルニアであると診断された妊娠中から出産までのできごとやママが感じた不安、生まれたお子さんの様子やその後の治療についてご紹介していきます。
(※)心臓や肺を圧迫するために心臓や肺の発育が悪くなります。これにより心臓の機能の低下や肺低形成・肺高血圧症をきたすため、出生後に手術を受けたあとも酸素療法や心不全に対する治療が長期に必要になることがあります。
息子の呼吸の補助が外れてからしばらく経った健診で、息子の体重の伸びが悪いことを指摘され、栄養相談を進められました。確かに当時の息子は食べている量に対して明らかにやせていて、私も不安を感じていなかったわけではありません。しかし、子どもを3人抱え、毎日バタバタと食事を作っていた私は、「栄養相談で叱られるのでは」とびくびくしていました。
息子の体重事情
息子は2,900gほどで生まれましたが、当初は病状が深刻で呼吸をするだけでかなりのエネルギーを使っていたため、生後4カ月で退院したときでも1,500gほどしか体重が増えていませんでした。
とはいえ、育児用ミルクは健康な子と同じくらい飲んでいましたし、離乳食も順調に進んでもりもり食べていたので、それほど心配していませんでした。しかし、呼吸の補助がはずれた1歳の健診から3カ月間ほぼ体重が増えていなかったため、医師から「次回の健診で栄養相談を受けてみては?」と提案されてしまい……。
栄養相談に怯えた理由
確かに当時の息子は本当にやせていて、栄養相談が必要なことは親の私自身感じていました。ただ、栄養相談自体は受けたかったものの「栄養相談のときは前1週間の食事の内容を記録してきてね」と言われて一気に心配に。
というのも、このころのわが家では真面目に一汁三菜そろうのは夕食くらいで、あとは炭水化物ばかりの手抜きメニューでした。さらに、空腹になるとすぐ不機嫌になる息子にあまり考えもせずどんどんお菓子も与えていて、とても誰かに見せられるような食習慣ではなかったのです。
ありのままを相談したら…
栄養相談で記録を見せる1週間だけ真面目に食事作りを頑張ろうかとも思いましたが、その後続けられないのなら意味はありません。私はあえて普段通りに生活し、ありのままの食事記録を持って栄養相談に向かいました。
「怒られるかな?」とびくびくしていたのですが、栄養相談の先生は記録を見ても微笑んだまま「カロリーは十分に足りていますね! 体重が増えないのはやっぱり病気のせいもあるかな?」と言ってくださり、ほっと胸をなでおろしたのを覚えています。
息子に足りなかった栄養素
心配だったおやつについても、「食べ過ぎてごはんが食べられなかったりしないならOK」と言われ、拍子抜けした私。1つだけ指摘されたのは「タンパク質をもう少し増やしてもいいかも」ということでした。
また、上の子たちもやせ型であったため「遺伝の影響も大きい」と言われ、心の底から安心しました。その後、息子のおやつをゆで卵や魚肉ソーセージなどタンパク質中心に変えると少しずつ体重も増え始め、痛々しいほどがりがりだった体が少しずつふっくらしてきました。
栄養相談の先生の指導に従って、タンパク質を多めにとるように心がけてから、息子の体は少しずつですが確実に成長していきました。自分のずぼらな食生活をさらすのは本当に恥ずかしかったけれど、自分の生活に則した改善策をいただけたので、正直にありのままを伝えてよかったです。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療的ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院で農学を学んだ経験から食についても執筆。