「アフターピルってどんなもの?」この質問、飲んだことがある人でも、ちゃんと説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。この記事では、アフターピルについて、どんなものなのか、どこで買えるのか、価格はどのくらいなのか、など意外と知らない基礎的なことを、医師に教えてもらいました。この記事を読んで正しい知識を学びましょう!
教えてくれたのは…
こまがた医院院長 駒形依子(こまがたよりこ)先生
東京女子医科大学医学部卒業。米沢市立病院入職後、再び東京女子医科大学に戻り、専門医を取得。同大学産婦人科に入局し産婦人科医として働きつつ、性科学を学び、また東京女子医科大学東洋医学研究所で東洋医学を学ぶ。2019年1月に地元山形県米沢市にて、こまがた医院を開業。著書に『子宮内膜症は自分で治せる(マキノ出版)』『膣の女子力~女医が教える「人には聞けない不調」の治し方(KADOKAWA)』。
アフターピルって何? どんな時に服用するの?
アフターピルとは、ひと言でいうと排卵を抑えるホルモンを含んでいる薬です。生理をコントロールするために飲む低用量ピルと違い、ホルモン含有量が多く、ものによっては4倍以上含有しているものもあります。排卵していなければ妊娠しないので、排卵よりも前に、避妊に失敗した・避妊ができなかったと思ったときはすぐに服用して排卵を抑制すれば、高い避妊効果を発揮します。
そのため、避妊に失敗してしまったときや、レイプなどの性犯罪に巻き込まれたときなど、望まない妊娠を避けたいときに使われます。
しかし、避妊効果について、注意が必要な点もあります。排卵を抑制するホルモンは、排卵前に飲むと排卵を抑えることができますが、排卵後に飲んでしまうと、子宮内膜が分厚くなるのを促進させます。つまり、アフターピルを飲むことによって、受精卵が子宮に着床しやすくなるので、結果的にアフターピルが妊娠を助長することになってしまいます。
アフターピルは緊急避妊薬とも呼ばれるほど高い避妊効果がありますが、タイミングによっては望まぬ妊娠を助長させてしまうリスクもある、ということを覚えておきましょう。なお、服用時に排卵前か排卵後なのかは、別途婦人科で診てもらえばわかります。
どこで買えるの? 家に置いておける?
2020年12月現在は、婦人科のある病院で購入できます。また、最近ではオンライン診療による処方で通販でも買えるようになりました。
婦人科では、医師から服用するタイミングや副作用の説明があり、その他質問があれば診察時に答えてくれます。また、医師にもよりますが、前述した排卵前か排卵後かを診察することもできますし、排卵後の服用になってしまった場合のリスク、持病による注意点なども含めて教えてくれます。
そのほか、海外サイトから直接個人輸入することも可能ではありますが、日本の規制にかかっていないので、本当に表示通りの成分が含まれているのかわからず、効果もわかりません。表示されている成分以外のものが配合されていることもあり得ますし、保存環境もはっきりとわからないので、極力避けた方がいいでしょう。また、当然のことですが、服用タイミングや副作用、リスクについても説明はありません。もし説明書が入っていたとしても、外国語で記述されていますので、しっかりと読み込まなければなりません。
また、日本の法律では個人輸入でのピルの転売は禁じられています(2020年12月現在)。個人輸入したものを販売しているサイトで購入することは、犯罪に関わることにもなりかねません。購入は止めましょう。
このように、基本的に国内でアフターピルを手に入れるには医師に診療してもらう必要があります(2020年12月現在)。また、ホルモン含有量が高く、副作用やリスクもあるので、処方の必要がない場合にはアフターピルを購入することはできません。余分に入手して、置き薬のように家に常備しておくことはできません。
アフターピルは、皆さんが思っている以上に強いホルモン剤。メリットもありますが、デメリットやリスクもきちんと知ったうえで服用するようにしましょう。
値段はどれくらい? 婦人科の処方と通販で変わる?
アフターピルの診療は、保険診療でなく自由診療。そのため、病院によって価格が違います。また、時間・曜日によって値段が変わってくることも多いようです。
婦人科で処方される場合は病院にもよりますが、1万~3万円程度。オンライン診療も診察料や送料を含めると1万円以上になることが多いようです。
また、私のクリニックの場合は、アフターピルにはジェネリック医薬品を活用しています。その場合でも、診療費込で1万円、時間によって1万5千円で診察・処方を行っています。
アフターピルは女性が服用する薬であり、含有しているホルモンにより、その女性の体の本来のリズムを崩すものです。アフターピルを使うことがないのが一番ですが、どうしようもない場合も、もちろんあるでしょう。その場合は、副作用やリスクなどをきちんと知ったうえで服用しましょう。また、パートナーがいる場合には、効果だけでなく、副作用やリスクについても共有したいですね。