こんにちは、保育士の中田馨です。さっきまで眠そうにしていたのに、お風呂に入ったとたんにパワー全開、お目目がギラギラになってしまうこともあるのが子ども。寝かしつけに時間がかかり「困っています」という保護者さんも多いものです。
寝る前の習慣として、絵本を取り入れることで寝る前の気持ちのリズムが整いやすくなります。今日は、子どもがコテンと眠れるおすすめの絵本を紹介します。
『おつきさまこんばんは』(福音館書店)
林明子さんの絵本で、『くつくつあるけのほん』シリーズ全4冊セットのうちの1冊でもあります。この絵本、自宅にも保育所にもあるのですが、わが子や園児たちに何度も何度も「読んで!」とリクエストされている、みんなが大好きな絵本のひとつです。
夜の暗闇の中から、黄色く光り輝くお月様が顔を出して「こんばんは」とあいさつをするところからお話が始まります。親子でおつきさまに「こんばんは」とあいさつをするのも楽しく、最後のおつきさまのにっこり笑顔に子どももホッと心が緩むようです。その流れで布団に入りやすく、絵本を読んだ後に窓の外を眺めて「おつきさまが“おやすみなさい”って言っているね」「今日はおつきさま見えないね。寝てしまったかな?」などお話ししてもいいでしょう。
『もうねんね』(童心社)
松谷みよ子さんの絵本で、『赤ちゃんの本』シリーズのうちの1冊でもあります。いぬやねこやひよこが「ねむたいよう」とやってきて、最後に女の子のモモちゃんも出てきて、みんな順番に“ねんね”していく本です。
やわらかい言葉の繰り返しが気持ちよいので、寝る前に読むときは、意識的にいつもよりもゆっくりとしたペースで読んでみましょう。眠たくて目を閉じる動物たちの表情が幸せそうで印象的です。何度も繰り返し読んでいるうちに、モモちゃんが人形と寝ている最後のページを読み終えたら、子どももねんねの気持ちの準備が完了するようになります。
「〇〇ちゃんもねんね おめめがねむたいね」と絵本の言葉を真似して布団に入ってみましょう。絵本のマネをして人形を抱きしめながら寝る子もいますよ。
『ノンタンおやすみなさい』(偕成社)
キヨノサチコさんの『ノンタン』シリーズのうちの1冊です。寝る時間になったけれど、眠たくないノンタンがお友だちの家に「そうだ。あそびにいこう」と誘いに行ったものの、うさぎさんもことりさんもみんな寝ていて起きているのはフクロウさんだけ。でも暗くてうまく遊べなくて「よるは やっぱり ねたほうが いいや」となる絵本です。
寝るのがもったいないとばかりに遊ぼうとするやんちゃなノンタンのお話なので、フクロウさんが出てくる場面はリズムをつけて読んでみてください。最後のページは、特にゆったりと読んでお話を終わらせるのがポイント。お話を読んだ後に「やっぱり夜は寝たほうがいいんだね」なんてお話ししながら、布団に入ってみましょう。
『こぐまちゃん おやすみ』(こぐま社)
わかやまけんさんの絵本で、『こぐまちゃん』シリーズのうちの1冊です。寝るまでにする生活習慣のお話です。着替えをして、歯磨きをして、トイレをして、お父さんとおすもうをして。すべて「じぶんでできる」こぐまちゃんは少し得意気です。最後は少し甘えながら、お母さんに絵本を読んでもらって寝てしまいます。
お風呂上りなど、布団に入る前に読んで「〇〇ちゃんもトイレ行ってから寝ようね」と誘ってもいいですし、布団に入ったあとなら「〇〇ちゃんも、自分でパジャマ着られたね」とできたことをお話ししながら読み進めてください。こぐまちゃんが家族の愛を受けて幸せな気持ちで寝ている様子を自分と重ねて、「じぶんも一緒だな」と幸せな気持ちで眠りについてほしいなと思います。
寝る前に絵本を読む習慣を取り入れると、入眠までの流れがスムーズです。「もっともっと読んで!」と言われるとなかなか大変なこともあるので、「寝る前は3冊」などお家のルールを決めてもいいですね。