普通分娩の予定だったのに…
妊娠がわかって、順調に安定期を迎え出産する産婦人科も決めていました。あとは出産の準備を少しずつしていくだけだな、とゆったり構えていた妊娠33週のころ。陣痛のようなおなかの張りが出てしまったために、急きょ出産予定の病院ではなく大きな総合病院に入院することになってしまいました。
おなかの張りを抑える点滴を打ちましたが、赤ちゃんは下がってきているし、張りはおさまらないし、子宮口も開いてきているので産もう!ということに。しかし、赤ちゃんに感染症の可能性があるということが入院時の血液検査でわかったので、緊急帝王切開することに。
緊急帝王切開で焦った意外なこと
緊急帝王切開になるとわかった瞬間に、周囲にいた看護師さんは大慌てしていました。私自身は微妙に続く陣痛に耐えることで必死でしたが、あることをすると聞いてからとても焦り始め、陣痛どころではない程に。
それは、毛の処理のこと。脇などは妊娠前に脱毛していたので気になりませんでした。でも帝王切開となると下腹部辺りの毛が邪魔になるよな……妊娠でいつもより毛深くなっている……!
そんなことを気にし始めたころに、看護師さんの「剃毛(ていもう)しますねー」の声がしました。もう諦めるしかないかと思いましたが、予想以上に剃毛に時間がかかってしまったのです。手術をしてくれる予定の先生から看護師さんが注意されているのを聞いて心底申し訳なさを感じていました。
いざ手術室へ! そこも見られるのか!
手術に関する準備がある程度終わった段階で手術室へ。もう恥ずかしいことはないだろうなとは思っていましたが、その予想ははずれてしまいました。手術ということは病衣を脱ぎ全裸になるのです。しかも尿管などをすでにつけられ、陣痛も強くなっていて動けない私は看護師さんに脱がせてもらわなければいけない……。おっぱいやおなか周りは毛が生えているし、恥ずかしい気持ちの極みです。
私の気持ちに気付いてくれた女性の看護師さんが、「ごめんね、なるべく素早くやるから」と言ってくれたので、気持ちが少し落ち着きました。そして、いざ脱がせてもらっているときの私の頭の中は「この時間は人生のなかの数分のことだ。この人たちにとっては日常茶飯事だから恥ずかしくない!」と呪文のように唱えなんとか気を紛らわしたのでした。
もう会わないはずが…
ものすごく毛深さを恥じていた第一子の出産。でもこの人たちにはこの出産時以外で会うことはない!と前向きになって退院し、体のすべてを見られた恥ずかしさも忘れようと思っていました。しかし、私はこの後、第二子、第三子と3年連続で同じ総合病院で手術することになったのです。
しかも全員、手術予定日より早まり緊急帝王切開になってしまい、スタッフの方は男性多め。「あれ? この方、最初の出産時にもいてくれた人だ」と顔を見て恥ずかしさも蘇るはめに……。恥ずかしいのはこのときだけ!という呪文は効き目がなくなってしまい、ただ「無」になるしかなくなったのでした。
まさかこんなに恥ずかしい思いをするとは思っていませんでした。妊娠前になるべく脱毛は終わらせたほうが、いざというときに慌てなくて済むなという教訓になり、第三子の出産・授乳が終わってすぐに脱毛に通った私の毛にまつわる体験記でした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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監修/助産師REIKO
著者:三上美咲
3人の未就学児年子の母。営業職でほぼ不在の夫と5人暮らし。育児をはじめとするさまざまなジャンルについてライターとして活動中。育児については主に自身の体験談を元に執筆している。