「話せない=赤ちゃん」と言われ…
長女自身、女の子たちがあまり歓迎していないのはわかっていたのだと思います。本当は一緒に砂に盛り付けたりしたかったはずなのに、しばらくの間は材料集めに徹していました。
その後、きれいなたんぽぽを見つけた長女はついに我慢できなくなったのか、女の子たちが作っていた「お砂のケーキ」に手を伸ばしました。その途端、女の子の1人がきっと私を睨みつけて、こう言ったのです。「あのね、お話できない赤ちゃんは一緒に遊べないの! あっちに行って!」。
悲しかった理由は…
その言葉自体もショックでしたが、何より長女に直接言うのではなく、親である私のほうに言われたことが悲しくてたまりませんでした。言葉の出ない長女なりに一生懸命コミュニケーションを取ろうとしていたのに、「話の通じない赤ちゃん」と一蹴されたのです。
ただ、女の子に何か言い返す気にはなれませんでした。うまく話せたとき、親は何気なく「お姉ちゃんだね!」とか、「もう赤ちゃんじゃないね」と褒めます。女の子はその理屈の逆を言っているだけで、3歳ほどの子に言葉が遅い子への配慮を求めるのは無理だと思ったからです。
帰宅後、娘にかけた言葉
結局そのまま帰宅して、しょんぼりとしている娘に私は言いました。「長女が言葉を話せなくても、言葉じゃないことでいっぱい言おうとしてくれるから、私はちゃんとわかるよ。言葉のわからない妹のやりたいことも、一生懸命考えてわかろうとする長女はすごいんだよ」。
長女の良さが女の子にわかってもらえず、悔しさからついついたくさん難しい言葉を使ってしまいましたが、長女はしっかり頷いてくれました。
長女は現在7歳。少し発語が舌足らずな部分はあるものの、人の気持ちを考えて話すことができ、友だちもたくさんいます。できることなら、あのときしょんぼりしていた長女に、今の素敵なお姉さんになった長女を見せてあげたいくらいです。
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監修/助産師 松田玲子
イラストレーター/山口がたこ
著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療的ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院で農学を学んだ経験から食についても執筆。