不安と心配のなか、いよいよ抜糸手術当日を迎えました。
体調も問題なく朝の健診を終えたあと、娘が処置室に入っていきます。
抜糸手術当日。子どもの叫び声が聞こえて……。
カーテン越しに泣き叫ぶ娘の声を聞いたときは、思わず涙が出ました。
しかし、先生から説明を受けたように手術自体はあっという間に終り、しばらくすると処置室に呼ばれました。
そこには開口器をつけ、暴れてけがをしないようにタオルでぐるぐる巻きになりながら、汗と涙でいっぱい泣いている娘の姿がありました……。
口蓋手術直後は血だらけで、その後はずっと保護プレートが縫い付けられていたため、それまで直接見ることがなかった上顎の様子を初めて間近に見ることができました。
今まで喉の奥まで避けていた軟口蓋部分に、ピンク色の筋肉が膜のように覆っていて、
そこは娘が泣くたびに振動していました。
裂部分の縫い目は少し盛り上がっていましたが特に問題なく、つなぎ合わせた軟口蓋裂部分の筋肉はしっかり繋がれていると説明を受けました。
今までなかった部分に新しくできた筋繊維と術直後あんなに真っ赤で血だらけだった口内もピンク色の組織が定着していて、その回復の速さにも大変驚きました。
そして、見えている骨とそこににじみ出てくる血が、改めてこの手術の難しさをあらわしているようで、こんな壮絶な手術を小さな体でよく乗り越え、頑張った娘は本当にすごいと尊敬の気持ちがこみ上げました。
大泣きの処置を終え、きっとこの日は1日中娘は泣いて不安がるだろうと思い、慰めるため1日抱っこする思いで覚悟していたのですが……。
娘は病室に戻るなり落ち着くと、泣きべそをかきながら許可の下りたベビーせんべいとたまごぼーろ、そして麦茶をたくさん口に入れ、怒りながら自分の身に起きたそのストレスを解消していたので、このたくましい立ち直りの速さにも驚きました。
しかし、明日は口の中の型取りがあるので、また泣いてしまうと思うと少し複雑でしたが、今日の山場を乗り越えた娘ならもう大丈夫だと思い、少しでも気持ちが晴れるようにこの日は娘のご機嫌を取ることに専念しました。
2013年生まれの長女くぴこは「口唇口蓋裂」ちゃん! この記事が、口唇口蓋裂についての理解につながり、ひとりでも多くの親御さんの励みになりますように。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
監修/助産師REIKO