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【緊急取材】産科医に聞く!妊婦さんへの新型コロナ対応の現状とこれから

新型コロナウイルスに感染し自宅療養していた妊婦さんが自宅で出産、残念ながら赤ちゃんは助からなかったという出来事を機に、妊婦さんに対するさまざまな動きが見られ始めています。今回は神奈川県伊勢原市にある、おおたレディースクリニック院長の太田篤之先生に、現在の妊婦さんに対する新型コロナウイルス対応とこれからについて伺いました。

太田先生

▲おおたレディースクリニック院長 太田篤之先生

 

新型コロナ対応の病床数をすぐに増やすのはなかなか困難!?

ベビーカレンダー(以下BC):新型コロナウイルスに感染した妊婦さんの受け入れ体制についてどのような状況なのでしょうか?

 

太田先生「各都道府県に特別な管理が必要な妊婦さんが入院するMFICU(母体・胎児集中治療室)を設置している病院があります。比較的、東京都や神奈川県などはMFICUが多いのですが、やはりMFICUの病床数が少なく、コロナ禍前から常に満床に近い状態が続いている病院がほとんどです。それに加えて新型コロナウイルスに感染にした妊婦さんを受け入れるとなるとなかなか厳しいというのが現状ではないかと思います。

 

それに対して『民間の病院の病床数を増やせばいい』という声もありますが、産科という特殊性もあり、他の診療科のスタッフが妊婦さんに対応できるかと言ったらそれも難しい。

 

さらに今回の千葉県の事例のように早産児などのハイリスク新生児に関しては産科だけの問題ではなくなってきます。ハイリスク新生児が入院するNICU(新生児集中治療室)の増床に関しても、NICUも1床あたりの広さが決まっているので、場所が空いているからと言ってそこに保育器を入れればよいという訳にはいかないのです」

 

もし新型コロナウイルスに感染したら?

BC:そのような状況でもし新型コロナウイルスに感染してしまったらどうしたらよいのでしょうか?


太田先生「まずかかりつけの産院に連絡をしていただければと思います。基本毎日の健康観察は保健所がおこないますが、おなかが張るなどの症状があるときは産院に相談してください。日本産婦人科学会では、自宅や宿泊療養中の妊婦さんに対して相談の目安について公表していますので、そちらも参考にしていただければと思います。

 

神奈川県では神奈川県周産期救急医療システムを導入しているので、たとえば伊勢原市の産院であれば東海大学病院、横浜市であれば横浜市立病院など相談できる病院が決まっています。産院に連絡してもらうことで、基幹病院と妊婦さんの情報を共有することができます。もし搬送が必要になった場合でも、基幹病院が受けられなくても次につなげられます。

 

そして、もし新型コロナウイルスに感染して治療が必要となった場合、抗体カクテルやレムデシビルなどの薬を使わなくてはいけなくなる場面も出てくるかもしれません。現在、これらの薬が胎児にどのような影響を及ぼすのか明らかにはなっていません。ご本人との意思疎通が難しい状況で薬を使用せざるを得ない状況になった場合は、ご家族が選択することになると思います。このような状況でどのように対応するか、今後の課題になるのではないかと思っています」
 

 

感染しないために今できること

BC:やはり今は感染しないことが大切になってきますね。


太田先生「現在、各自治体で動きが見られているかと思いますが、伊勢原市では妊婦さんに加え、ワクチン未接種の夫や12歳以上の同居人1人までを対象に8月29日からワクチン接種が始まります。各県・市町村のHPをよく見て情報を得るようにするとよいと思います。

 

日本産婦人科学会は妊婦さんに対し、時期を問わずワクチンを接種することをすすめています。臨月に入った妊婦さんは2回目の接種までに出産となることも考えられます。そして、出産時何か問題があったときに入院が長引いて、適切な時期に2回目の接種ができなくなる可能性も出てくるので、その点も含めてかかりつけ医に相談するとよいでしょう。

 

一方で新型コロナワクチンは任意接種なので、打たない選択をする人もいると思います。ですが、それが悪いことではありません。ワクチン接種するかどうか吟味した上で自分でワクチン接種を受けるかどうか決めていただければと思います」

 

BC:ワクチンに加えてこれまでおこなってきた対策も続ける必要がありますね。


太田先生「ワクチンを打っているから大丈夫なわけではありません。感染する・させる可能性はあります。これまでおこなってきた、手洗い・マスクの着用・不必要な外出を避ける、どうしても外出が必要な場合は外出時は人出をよく見て外出するなど、基本的な対策を続けていただければと思います。

 

また、現在は家庭内感染が増えてきています。子どもの感染も増えてきているので、上のお子さんがいるご家庭では感染リスクが高くなります。ご本人だけでなく、一緒に生活している方も同様の対策をおこなって感染リスクを少しでも減らしていただくことが大切です。

 

そして、新型コロナウイルスに感染したかもしれない……と思ったらまず相談してください。何度相談してもよいと思います」


BC:最後に太田先生からひと言お願いします。
太田先生「現在、さまざまな人たちがこの状況をなんとかしようと動いているのは確かです。不安に思っている方もいると思いますが、わからないことがあれば遠慮なくすぐに相談していただければと思います。各自治体、かかりつけ医によって対応が違うので県・市町村・産院などのHPを見て情報を得るようにしてください」

 


今回はおおたレディースクリニック院長の太田篤之先生からお話を伺いました。1人でも多くの妊婦さんが安心して安全に赤ちゃんを迎えられるよう取り組みが進んでいるようです。


わからないことがあれば相談すること、最新の情報を得ることで不安が軽減したり今後の見通しもつくかもしれません。太田先生がお話しされていたようにさまざまな人たちがこの状況をなんとかしようと動いているのは確かです。ベビーカレンダーでも妊婦さんたちに必要な情報をタイムリーに発信していきたいと思います。

 

取材日:2021年8月26日(木)
TEXT:助産師REIKO

 

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