台湾では占いで縁起の良い出産日を選ぶ?
もちろんすべての方がそうではありませんが、台湾では重要なことを占いで決めるという方が日本よりも多いと感じます。私の夫も伝統的な家庭の出身で、重要な事柄は風水や占いにこだわるところがあります。
私はある健診の日、持病があることから帝王切開にしたほうが安全だと先生から言われました。それを聞いた夫は先生に、「帝王切開なら占いで希望日を決めてもいいですか」と尋ねたのです。私はびっくりして「何を変なこと言ってるの!」と声を上げてしまいました。
日本より帝王切開率が高い
台湾人の先生は夫の発言に驚いている私を見て、笑いながら「大丈夫! 台湾では普通だよ!」続けて、「次回までに妊娠37週から39週の間で希望日を2・3日選んできてね!」と言うのでした。調べてみると台湾では40%近くの方が帝王切開で出産しているようです。
干支の中で一番強いと言われる辰年が一番人気で、辰年になると出生率が上がるのも台湾らしい一面かもしれません。ただ、私はすぐに占いで出産日を決めるということを受け入れることができませんでした。
占いに抵抗感を持つ私と占いで決めたい夫
病院から帰宅しても私の心のモヤモヤは消えませんでした。さらにこの出産日を巡る話し合いでストレスが増えていく一方でした。そして、妊婦が大事なときにこんなにストレスを感じていいのだろうか?と自問自答する日々。
最終的には、どっちにしろ日にちを決めなければいけないのだから、子どもが安全に生まれるなら私は何日でも良いと思うようになりました。
縁起の良い日を選び、出産へ
何度も夫と話し合いすることによって、最終的に2人の願いは安全に子どもを出産することだということがわかり、占いで決めた縁起の良い日に出産することになりました。ただ子どもが第一なので、何か問題が発生した場合には、無理に占いの日に合わせないという約束をしました。
海外での出産はいろいろと不安がありましたが、産院の先生方のサポートもしっかりしていて、安心して出産することができたことが本当によかったと思います。出産後は、いつ生まれたかよりも元気に生まれてくれたことのほうが重要で、「妊娠中、なんで頑なに拒んでいたんだろう?」と思うまでになりました。
出産は命がけで何が起こるかわかりませんので、私自身今でも出産日を占いで決めることに抵抗感があります。しかし、日本ではありえないようなことも外国ではありえるんだなと改めて日本との文化の違いを感じました。ただ、どんな場合でも子どもを第一に考え、安全に産むことだけを考えれば、文化の違いも乗り越えられるのではないかと深く感じたエピソードでした。
イラストレーター/まっふ
監修/助産師 松田玲子
著者:鈴木けいこ
日本人と台湾人のハーフである3歳の男の子の母。台湾在住。息子が2歳半のときに発達障害の診断がおり、現在台北の病院で療育中。主に台湾での子育てについて執筆中。