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「生理がこない…妊娠したかも…」産む人・産めない人それぞれの次のステップとは【医師監修】

「生理がこない…」。生理の予定日を過ぎても生理が数日こないと、「妊娠しているのでは…?」とドキっとした経験がある人は、実は多いのではないでしょうか。そんなときに、わたしたちはどうすればよいのか? 産むという選択ができる人、事情でその選択肢ができない人、それぞれどうすればいいの?なかなか人には聞けないことを、婦人科医である天神尚子先生に聞きました。

「生理がこない…妊娠したかも…」産む人・産めない人それぞれの次のステップとは【医師監修】

 

答えてくれたのは……
三鷹レディースクリニック院長 天神尚子(てんじんひさこ)先生

日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、1995年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

 

「生理がこない。妊娠したかも…」。まずすべきことは?

「妊娠しているかどうかの判断は、産婦人科で診察を受けなければ確定できません。ただ、まずは「妊娠したかも」と思ったら、自分でできる、この4つのことを確認しましょう。

 

1)前回の生理開始日と性交渉をした日を確認する
2)生理予定日から1週間経っていたら、もしくは前回の生理開始日から5週間経っていたら、市販の妊娠検査薬を試してみる
3)胸が張る、風邪っぽくてだるいなど、妊娠の初期症状がないかを確認する

 

生理周期(前回の生理から次の生理までの期間)が定まっていない人は、いつ排卵しているのかがわかりにくいため、生理予定も定まらず、本人も妊娠に気づかずに過ごしてしまうことがあります。その場合は、前回の生理開始日を目安にし、そこから5週間経っていたら、市販の妊娠検査薬を試してみるようにしましょう」(天神先生)

 

妊娠検査薬で陽性反応が出なかったら

「検査薬で妊娠反応が出ない場合、妊娠の可能性は限りなく低いです。ただ生理がこない理由は妊娠だけでなく、ほかの何かあるはずです。もしかしたら、ホルモンの異常など、トラブルや病気が隠されているのかもしれません。「生理がこない…」と1人で悩むよりも、一度、婦人科(産婦人科)を受診して、生理について相談してみましょう。具体的なアドバイスを受けられて、「自分の生理」をきちんと学べるチャンスにもなります。

 

特に、生理が不順だと、いつ排卵しているのか、本当に排卵しているのかなど、自分ではわかりづらいことも、婦人科での診察でわかります。医師が必要と判断すれば、低用量ピルなど薬を使った治療をうけることもできます」(天神先生)

 

妊娠検査薬で陽性反応が出たら

「前回の生理から5週間以上経っていたら、婦人科(産婦人科)を受診しましょう。「妊娠をしているか、正常な妊娠か」など、医師の正確な診断が必要です。これは、妊娠を望んでいる、望んでいないに関わらず、必ず、婦人科(産婦人科)を受診しましょう」(天神先生)

 

妊娠を望んでいる場合、受診はいつまでにすればいい?

「受診は、生理予定日の1~2週間後(前回の生理開始日から5~6週後)がいいでしょう。妊娠していれば、超音波検査で胎嚢が確認できるはずの時期だからです。妊娠6週前後になっていると妊娠は確定でき、妊娠7週では胎児の心拍も100%確認できる時期です。

 

妊娠検査薬で陽性反応が出たら、遅くとも生理予定日の2~3週間後(前回の生理開始日から6~7週間後)までには一度婦人科を受診をしてください。受精卵がちゃんと子宮に着床しているとは限らないためです。異所性妊娠といって、子宮以外の卵管など着床にしている場合、卵管などが破裂してしまうこともあります。異所性妊娠は100人に1人、1%の確率でおこるといわれています」(天神先生)

 

妊娠を望んでいない場合、受診はいつまでにすればいい?

「すぐに婦人科(産婦人科)を受診しましょう。そして、あなたはどうしたいのか、その気持ちを聞かせてください。緊急避難としての効果は80%くらいですが、性交後72時間以内なら緊急避妊薬を使う方法もあります。


本来であれば、「避妊の失敗」で「人工中絶手術」をすることは、法律的には認められていませんが、あなたが妊娠を望まない理由、例えば、経済的に精神的に厳しい、性的暴行を受けたなどの理由によっては認められます。なお、その際には、性的被害以外は相手の同意書が必要です。また、あなたと相手が未成年の場合は、両方の保護者のサインが必要です。


また、人工妊娠中絶は妊娠22週未満までですが、妊娠12週以上の人工妊娠中絶手術は「中期中絶」といい、体に大きな負担がかかります。小さなクリニックでは手術ができない場合もありますが、相談のためにも一刻も早く受診しましょう」(天神先生)

 

どの産婦人科でも中絶手術を行っているの? 費用は?

「人工妊娠中絶手術をおこなうことができるのは、母子保護法の指定医師のみのため、どの産婦人科でも人工妊娠中絶手術を行っているわけではありません。また中絶手術の費用は、健康保険扱いにはならず、全額自己負担となります。具体的には、15万~20万程度が平均的だと思います。


もし、あなたが人工妊娠中絶手術を考えている場合でも、手術をおこなっている産婦人科のことを誰かに聞くことは難しいと思いますので、どの病院で手術が受けられるのかは、ネットで検索してみるとよいでしょう。


ただし、受診前に問い合わせをしたときの対応などをみるなどして、信頼できる病院であるかを調べましょう。診察内容で差異はありますが、安さをアピールしている病院は「ちょっと怖いな」と疑ってもいいかもしれません」(天神先生)

 

人工妊娠中絶手術をしたら、将来的な妊娠に影響はあるの?

「きちんとした病院で、1~2回、人工妊娠中絶手術をおこない、術後の経過も良好だったということならば、将来的な妊娠を悲観することはありません。ただ、頻回に中絶手術をするのは感染症にかかる心配も増えますし、術後にちゃんと養生しないと、卵管が炎症をおこすと癒着して、妊娠しづらくなることもあります。


現在は、出血量が少ない吸引による人工妊娠中絶手術もありますが、医学が進んだとしても、中絶手術が女性の体と心を傷つけるという事実は変わりません。望まない妊娠は絶対にしない!と、あなたが決意をすることが一番大切です。


パートナーがいてセックスが日常的にあるけれど、妊娠はしたくないという人は、コンドーム+低用量ピルの2段構えが理想。コンドームは性病予防のためにもちろん必要ですが、避妊としては十分ではありません。自分の体は自分で守りましょう」(天神先生)

 

 

「生理がこない…妊娠したかも」と思った場合、産む・産まないに関わらず、あなたの心と体を守るためには、まずは婦人科を受診することが大切です。そしてこれから、どういう方法をとるといいのかを、婦人科医に相談してみるといいでしょう。

 

ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!

 

取材・文/山本通子

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