「ごめんなさい。陽性でした」夫が感染!親子で濃厚接触者に。「孤育て」14日間のリアル<孤育て取材>

長期化するコロナ禍において、妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが、孤独な子育て「孤育て」の中にいます。これまでに4回発令された緊急事態宣言下においては、ママ友や親と会うことすらままならない日々が続きました。

「ごめんなさい。陽性でした」夫が感染!親子で濃厚接触者に。ストレスフルだった「孤育て」14日間のリアル

 

そして、感染爆発が起きてからは、ママ自身が新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者となったりすることも、対岸の火事ではなくなりました。ただでさえ、孤独に陥りやすい現代の子育て。前代未聞の混乱の中、ママたちは子育てとどのように向き合ってきたのでしょうか。当事者のリアルを追います。

 

現在妊娠・出産・子育てをする多くのママたちが直面している「孤育て(孤独な子育て)」。ベビーカレンダーでは、新型コロナウイルス流行により人と関わることができず、各家庭だけで子どもと向き合う子育てを強いられ、閉塞感や孤独感を抱えながら子育てをしている、今の子育ての実態を特集でご紹介します。

 

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「コロナ禍で孤独を感じることが増えた」と答えたママが7割超

今、多くの親たちが戸惑いの中にいる。ただでさえ、子育ては不安に陥りやすいもの。育児不安にはさまざまな理由があるが、その一つが「孤独感」だ。長引くコロナ禍で、かつてないほどの孤独な子育てを強いられている。

 

ベビーカレンダーの調査によると「孤独だと感じることがある」と回答したママ(妊娠中・育児中)は、全体の約6割に上った。そのうち、新型コロナウイルス流行前と比べて「孤独を感じることが増えた」と答えたママは7割を超えた。

 

 


子育て支援施設やママ友、実家といった育児で不安を抱えるママたちに手を差し伸べる存在が、コロナ禍でことごとく遠のいた。オンライン相談、オンライン子育て広場などの支援活動も広がったが、画面越しのコミュニケーションには限界がある。

 

同居家族が新型コロナウイルスに感染し、家族中が濃厚接触者となった場合でも、子育ては待ってくれない。今年8月、千葉県の平野しょう子さん(仮名・30代)は、感染した夫の自宅療養を支えながら、濃厚接触者となった7歳の息子と5歳の娘と共に、自宅にこもった。

 

「ごめんなさい。陽性でした…」夫は自宅療養に

2021年8月、30代の夫が新型コロナウイルスに感染した。最初は喉の痛みを訴え、すぐに発熱したが一旦解熱。PCR検査が受けられる病院が近くになかったため、薬局で抗原体の簡易キットを購入して調べた。陰性だった。

 

ほっとしたのも束の間、夫の嗅覚に異常が現れた。急いで自宅から離れた病院へ行き、PCR検査を受けた。

 

「ごめんなさい。陽性でした……」。電話口の夫は、沈んだ声で告げた。

 

2LDKのマンションに親子4人暮らし。夏休み中の2人の子どもたちへの感染リスクを考えると、ホテルでの療養が望ましかったが、8月は混み合っていて自宅療養しか選べなかった。

 

荷物部屋になっていた部屋を急いで片付け、そこに夫の布団を敷いて隔離した。できる限りの消毒と感染予防、換気も徹底した。しょう子さん親子は濃厚接触者と判定され、14日間外出を自粛することになった。

 

「もちろん夫ものことも心配でしたが、私や子どもたちにうつっちゃったらどうしよう!っていう恐怖も大きかったです。部屋を隔離しても、お風呂やトイレは一緒なので心配でした。でも私が感染したら誰がこの子たちのお世話するの?って思って。うつってたまるか!という使命を感じて過ごしていました」

 

「公園行きたい」とせがむも現実を受け止める子どもたち

夫は一旦解熱したものの、39.5度まで熱が上がり、日に日に食欲も低下。夫の体が心配だったが、顔を見るのは食事を届ける時くらい。子どもたちはパパに会いたがったが、扉越しに会話をするだけに留めた。

 

テレビの向こうの世界は、東京オリンピックで盛り上がっていた。窓の向こうからは、真夏の太陽が照りつけた。こんなに晴れた夏休みなのに、こんなに元気なのに外で遊べないなんて……。

 

子どもたちは「公園行きたい!」とせがんだが、「コロナになっているかもしれないから、やめておこうね」と諭すと、意外にもすんなり聞き入れてくれた。

 

小さな心で、理不尽な現実を精一杯受け止めているようだった。誰にも会えないことを理解し、祖父母が玄関前に届けてくれたお菓子に大喜びした。

 

兄妹げんかは気が済むまで!イライラしたらママはトイレへ

感染しているかもしれないという懸念から、ベランダでのプールもシャボン玉も控えた。有り余る時間と体力をどう消費すればいいかが問題だった。

 

「ごめんなさい。陽性でした」夫が感染!親子で濃厚接触者に。「孤育て」14日間のリアル<孤育て取材>

※イメージ写真

 

日中はDVDを見たり、以前使っていたおもちゃを引っ張り出して遊んだり、知育菓子を作ったりして過ごしたが、やはり兄妹げんかは多発した。

 

「そりゃストレスたまるよねって思いました。なのでけんかは気が済むまでやってって見守っていました。元気が有り余る子どもたちとのおこもり生活は、とても厳しく大変でつらかったです」としょう子さんは振り返る。

 

でもこんな時だからこそ、「ママ」はできるだけ穏やかな気持ちで過ごすよう心掛けたという。

 

「こんな時に怒ってもしょうがないって思ったんです。イライラしたらスマホを持ってトイレにこもりました。そのひとり時間がオアシスでした。あとは子どもたちに内緒で台所でチョコレート食べて、気分転換してました」

 

ついにマンションからクレーム。生活リズムも崩れる日々

子どもは体を動かしたくなるもの。室内用ジャングルジムの上からジャンプしたり、家の中で走り回ったりすることもあった。

 

そしてある日、「マンションでは音に気を付けて過ごしましょう」などと書かれた管理会社のチラシが、ポストに入っていた。

 

それを手にしたしょう子さんは、近所の人が管理会社にクレームを入れたんだと気付いた。「あの時期はどのおうちもステイホームでしたから、みんな煮詰まっていたんだと思います」

 

それからは、子どもも音に注意を払うようになり、自分からクッションの上でジャンプするようになった。缶詰状態の上に、室内での動きも制限される日々。体力が余り、就寝が1時や2時になることも増えていった。

 

全員陰性に!子どもを感染から守り切った達成感

その後、夫は無事に回復し、後遺症を抱えながらも仕事に復帰した。そしてママと子どもたちのPCR検査の結果は陰性だった。

 

「私、頑張った!子どもたちを守り切れた!って思いました。初めて自分で自分を褒めてあげたくなりました。学校や幼稚園が始まって、お友だちと会えてうれしそうなわが子を見ると、ほっとします」としょう子さんは晴れやかに話す。

 

そして、夫の自宅療養期間中の「孤育て」を子どもたちに助けられたとも感じている。もし夫と2人暮らしだったら。夫の感染でかなり落ち込んでいたかもしれない。子どもの世話は大変だったけれど、子どもの明るさに救われた場面も多かった。

 

「今まで以上に、家族の大切さを感じています」

 

秋になり、家族4人で海までドライブした。冷たい海水に足だけちゃぷちゃぷして遊んだ。何もできなかった夏を、少しだけ取り戻せた気がした。

 


<調査概要>

孤育て実態調査
調査対象:株式会社ベビーカレンダーが企画・運営している「ファーストプレゼント」「おぎゃー写真館」「ベビーカレンダー全員プレゼント」のサービスを利用された方
調査期間:2021年8月22日(日)~8月25日(水)
調査件数:931件

ベビーカレンダー記事制作の取り組み
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    この記事の著者

    ライター大楽眞衣子

    社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。

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