陣痛開始から3時間で出産
第1子の娘のときには陣痛開始から8時間かかっての出産だったため、息子が出てくるときは「もう産んでいいの?」とすら思いました。生まれてすぐ胸元に置かれた息子に「お願いを聞いてくれてありがとう」と言ったのを覚えています。
妊娠39週0日での出産でした。しかし、息子はそのまま保育器へ。助産師さんいわく、「少し呼吸が速いので保育器で様子見ますね」とのことでした。このときはまだ「すぐに出てくるだろう」と気楽に考えていたのです。
保育器から出られない息子
病室に戻ったあと、翌日から息子との生活が始まるはずでした。そして出産翌日、助産師さんに呼ばれ新生児の部屋に行くと、まだ保育器に入ったままの息子がいました。息子はチューブにつながれて手を包帯で巻かれ、とても速く呼吸をしていて、この姿を見たとき愕然とした私。
そこにいた小児科の先生が、「赤ちゃんはまだ苦しい状態なので、保育器を開けられません。このまま小児科へ入院となります」と言いました。そして、「分娩時間が短かったので、赤ちゃんが出てくるのがちょっと早かったかもしれないですね」とのことでした。
ぐっとこらえた涙
先生曰く、この時点で考えられるのは「新生児一過性多呼吸」。出産のときに肺の中の液体をうまく排水できず、肺の中が湿った状態だと考えられるそうで、先生が言うには「今赤ちゃんは溺れているような状態」とのことでした。
先生の「早く出過ぎてしまった」という言葉が私の胸に刺さり、「するっぽんと生まれてきて」と言ったことをとても後悔。息子が苦しそうにしている様子を保育器の外から見つめながら涙が溢れそうになりましたが、「つらいのは私じゃなくて赤ちゃんだ」と思い、何とか泣くのをこらえました。
初めての抱っこで涙腺崩壊
息子は同病院内のNICU(新生児集中治療室)に入院。日に日に息子の状態は良くなっていくものの、数日は保育器越しの面会でした。そして出産から5日目に保育器から出ることができ、初めての抱っこ。このときに「やっと会えた」という気持ちになり、看護師さんに背を向けて泣きました。
看護師さんもわかっていたとは思いますがそっとしておいてくれ、私はこらえることもできずボタボタと涙。息子に「ごめんね」の気持ちと「愛おしい」の気持ちと、全部がぐちゃぐちゃになって出てきました。その後、私の退院から遅れること数日、息子は元気になって無事に退院できました。
あくまでも可能性ということですが、先生曰く分娩時間の短さが今回の息子の状態につながったのではないかということ。そんなことがあるのかと初めて知りました。そして「早く生まれて陣痛時間が短いといいな」などと安易に考えていたことをとても後悔した体験談でした。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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監修/助産師 松田玲子
著者:山口花
田舎で1女1男を育てる母。コーチングの資格を子育てに生かしながら日々奮闘中。主に妊娠・出産・教育の記事を執筆している。