緑茶に含まれるカテキンやテアニンの秘めたるパワー
――「緑茶レモン」を飲むことで痩せるのには、どのような理由があるのでしょうか。
工藤先生 緑茶とレモンは、科学的に見ても高い健康効果やダイエット効果がある成分を含んでいる食材です。
例えば、緑茶に含まれる茶カテキンには、脂質代謝を活発にする働きがあります。ほかにも、摂取し続けることで善玉菌が増加し、悪玉菌が減少して腸内環境が整う効果ももたらされます。その結果、痩せやすい体になっていくのです。
また、テアニンはリラックス作用があることで注目を集めている成分です。ストレスによって過食に走り、体重が増えてしまう人は少なくありません。近年の研究によって、テアニンには、ストレスになる刺激への応答として起きる自律神経系の活動を抑制したり、ストレスを受けた脳神経系の活動を正常化する働きが示唆されています。テアニンのリラックス効果やストレス耐性によって、ストレスによる過食の予防が期待できます。
実際、日本有数の茶所として知られる静岡県の方たちには次のような特徴があることがわかっています。
・メタボ該当者が全国最低水準(特定健康診査の結果)
・2015年~2016年の都道府県別健康寿命ランキングの平均値が男性全国3位、女性全国2位
こうしたデータから、日常的にお茶を飲んでいる静岡県の方々は太りにくく、健康的に長生きしやすいことが推測されます。
レモンを摂取すると“痩せホルモン”が分泌される
――緑茶のダイエット効果はわかりましたが、レモンを一緒にとると効果的なのはなぜでしょうか?
工藤先生 レモンの効果については、例えば同志社大学生命科学部、糖化ストレス研究センターの八木雅之教授らの研究によると、米飯を摂取する前にレモン果汁をとることで食後の血糖値の上昇を抑えられることがわかっています。
また、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」というホルモンがあります。アディポクネチンは“痩せホルモン”と言われており、このホルモンの分泌量が多いと運動時と同様の脂肪燃焼効果が得られ、太りにくい体になるという研究報告があります。日本一のレモンの産地である広島県でおこなわれた調査では、レモン摂取量が多いほど血中のアディポクネチン濃度が高いことが判明しました。
このように、緑茶とレモンにはそれぞれに痩せる効果があり、両方の成分を同時にとれる緑茶レモンはダイエットに非常に有効です。さらに、飲むだけで痩せる効果が期待できる緑茶レモンは簡単で続けやすいダイエット方法でもあるのです。
次の章で、緑茶レモンの作り方を紹介します。
緑茶にレモン果汁を入れるだけで“緑茶レモン”が完成
――緑茶レモンの作り方も教えていただきたいです。
工藤先生 作り方は、いたって簡単です。
1 カップにレモン果汁大さじ1を入れる。
2 急須に緑茶小さじ1とお湯150mlを入れて2~3分蒸らす。
3 1に2を注いで混ぜる。
緑茶レモンに使用するレモンは、市販のレモン果汁(果汁100%)でも生のレモンでも、ダイエット効果に変わりはありません。ですから、レモン果汁の代わりに生のレモンの搾り汁を使うのも良いでしょう。ただし、緑茶レモンは痩せる成分が含まれているレモンの果汁を摂取することが目的ですから、輪切りやくし切りにしたレモンを使う場合は大さじ1杯分の果汁が採れる量を用意するようにしましょう。
――緑茶レモンに使用する緑茶は、茶葉を使っていれるのが良いのでしょうか?
工藤先生 急須を使って茶葉で緑茶をいれても良いですし、市販のペットボトルの緑茶でも構いません。ゴクゴク飲みたい方は緑茶を水出しして冷たい緑茶レモンを作るのも良いでしょう。
――緑茶レモンの効果的な飲み方はあるのでしょうか?
工藤先生 痩せる効果を引き出したい場合は、毎食、食前の20~30分前を目安に1杯を飲むのがおすすめです。なぜかというと、満腹を感じるのは食後20分を過ぎたころからだからです。食前20~30分前に緑茶レモンを飲んでおくと、緑茶とレモンの香りや刺激が交感神経を高めて満腹中枢に働きかけて空腹ホルモンの「グレリン」を抑え込み、満腹ホルモンの「レプチン」の分泌を促します。その結果、食べ過ぎを抑え、かつ代謝アップを実現することができるのです。
カップ1杯の緑茶レモンの量を150mlとすると、1日に飲む量の目安は450ml程度となります。緑茶レモンには、特に摂取量の上限はありませんから、食前に飲む以外にもマグボトルなどに入れて水分補給用のドリンクにしても構いません。常識の範囲内の量でおいしく飲んでみてください。
次回は、緑茶レモンのダイエット以外の健康効果についてお伝えします。
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著者:熊谷あづさ
ライター。1971年宮城県生まれ。埼玉大学教育学部卒業後、会社員を経てライターに転身。週刊誌や月刊誌、健康誌を中心に医療・健康、食、本、人物インタビューなどの取材・執筆を手がける。著書に『ニャン生訓』(集英社インターナショナル)。