思っていることを伝えるのが苦手な私
もともと喧嘩が苦手な私は、喧嘩に発展することを恐れて、付き合っている相手に不満があっても「こうしてほしい」とストレートに言えるタイプではありませんでした。しかし、不満が態度に出やすいほうでもあるので、私の態度で相手に察知してほしいという期待もありました。これまで付き合ってきた人のなかには気持ちを察知する能力に長けている人もいたため、私はいつしか自分の思っていることを言葉で伝えるということを疎かにしていたのです。
コロナ禍での在宅ワークで不満が募り…
私たち家族は現在、仕事の関係でベトナムに住んでいます。ベトナムも、新型コロナウイルスがさらに深刻な状況となり、2021年7月中旬以降は、日本以上に厳しい外出禁止令が発令されていました。
そのときすでに子どもの幼稚園は休園になっていたのですが、外出発令前により、仕事に行くためにお願いしていたシッターさんにも来てもらうことができなくなりました。と同時に、私たち夫婦も仕事は在宅ワークに。つまり、私は家で仕事をしながら、家事も育児もしなければいけなくなったのです。自分の仕事に加えて、毎日の家事と育児、特に食事を3食準備しなければいけないことが私にとってはとても大変でした。
しかし、同じく在宅ワークのはずの夫が食事の支度を手伝ってくれることはなく、食卓にごはんが並ぶまで何もしません。そのたびに「手伝ってくれたっていいのに」と心のなかでは夫への不満がたまっていき、腹が立っていました。それもあってか、ある日の昼食時、ふと「あなたは本当に気が利かない」と嫌味っぽく言ってしまったのです。
私に嫌味を言われて腹が立ったのか、夫は食事の後から機嫌が悪く、私だけでなく子どもに対してもほぼ口をきかなくなったのです! わが家は一気に険悪なムードに。気まずい雰囲気はその日の夜まで続きました。
互いの認識のズレに気づく
さすがに翌朝までこの状況を続けるのは子どもにとってもよくないと思い、夫と話し合いをすることに。何について怒っているのか聞くと、やはり、私のひと言が原因でした。夫にとっては、何の前触れもなく私から嫌味を言われ「なんでそんなことを言われないといけないのか」と腹が立ったというのです。
そこで、私はどうして「気が利かない」と言ったのか、その理由を詳しく説明しました。「ごはんができたよ」と言っても、食事をテーブルに運んでくれず何もしないではないか、と。すると夫は、「食事をテーブルに並べてほしいことは言ってもらわないとわからない」と言うのです。
たしかに私は今まで「ごはんをテーブルに運んで」と伝えたことはありません。しかし、私のなかでは「ごはんができたよ」という号令は、「各自ごはんを取りに来てテーブルに運んでね」の合図だという認識でいたのです。
そこで、互いの認識のズレを感じました。私は「何もやってくれない」と感じて勝手に不満に思っていましたが、夫は「運んで」とは言われていないから運ばなかったというだけ。私がいかに態度で「察してほしい」と思っていたのか、しっかり言葉で伝えないと相手には伝わらないんだと痛感しました。
この一件を機に、私たち夫婦はお互いに何かやってほしいことや不満があれば、しっかり言葉にし合うようになりました。
今回のことだけではなく、夫との考え方の違いは生活の中で日々感じています。でもそれは今まで過ごしてきた環境が違うので、当然のことなのです。
大事なのはそれをあえて我慢したり、放置したりするのではなく、そのときに自分が不満に思っていること、そして改善してほしいことをストレートに伝えることだと思います。私もつい面倒くさがって、その場で伝えることを怠ってしまうのですが、お互いが幸せな結婚生活を送るうえで、この作業を日々怠らないことがとても大事なことだなと、今回の一件で強く感じました。
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著者/町田久美子