お酒が入ると悪口のオンパレード
義家族は、帰省するたびに外食に連れて行ってくれます。息子とお酒を飲みながらワイワイ話がしたいのだと思います。結婚当初は、私との差を少しでも早く埋めようしてくれ、よく食事会のセッティングをしてくれました。
しかし、お酒が入り楽しくなってくると、夫は私の悪口を言い出します。しかもそれは私が化粧室に行っているときに……。化粧室から戻り、食事中の個室の扉を開けようとすると部屋の奥から夫の声が。「家事が手抜きで困ってて、俺が代わりにやることもある」「行儀が悪くて目につくところが多い」「義実家に帰ると兄妹との会話中の言葉遣いが汚い」などと義両親に私の悪口を言っているではありませんか。私は扉の外で夫の私に対する悪口をただただ聞くことしかできず、悔しくて再び化粧室に戻り泣きました。
お風呂に入ることが恐怖
私に対する悪口は義実家に行ったときも。私がお風呂に入っているときにリビングで私の悪口を言っているのを聞いてしまいました。いつもはゆっくり入るお風呂ですが、義実家ということもあり早く上がるようにしています。そのため、私がまだお風呂に入っていると思い、夫は私の悪口を言いふらしているのです。
しかも、悪口は毎回同じ内容です。私はお風呂に入ることが怖くなり、入る前は「また今日も私がお風呂に入っているときに悪口を言うのだろう」とソワソワしてしまうように……。悔しくなりお風呂のなかで泣いたこともありました。そのときは涙が止まらず目がパンパンになってしまい、お風呂上がりに異変に気付いた義母が「どうしたの?」と心配してくれましたが、「いつもと違うメイク落としを使ったから目が染みて」となんとか笑って答えました。
夫は私がお風呂から上がり、場に戻るとケロッとした顔をしています。さすがに怒りと悔しさが込み上げてきて、しっかり夫と話さなければと心に決めました。
「悪口言ってるでしょ」夫を問い詰めると
夫に話すと、「酔っぱらっていたからか、ごめん覚えていない」と言われました。余計に腹がたった私は、夫が言った私の悪口のすべてを伝えると、「うん……そう言われると言ったような気がする。ごめんなさい」と謝られました。
普段は周りからうらやましがられるほど、素敵な夫です。家事も率先して手伝ってくれ、私の負担が減るようにと自ら動いてくれて、私に対しては「不満はない」と言ってくれていました。夫に「不満があるならなぜ直接私に言ってくれなかったの」と問うと、「本当に不満はない。今自分が一番戸惑っている」と納得のいかない返答が。
私は「結婚して間もないのに、自分の両親に俺の結婚相手は最悪だと言っているもの。自分が恥をかくだけなのにどうして悪口を言ったのかちゃんと答えて」とさらに問い詰めると、夫からは「見栄を張りたい自分がいて……」と返ってきました。
夫が悪口を言っていた理由は…
「見栄を張るために、家族に私の悪口を言ってどうなることを望んでいるのか?」とさらに問うと、「両親からの”頼りない息子”というイメージを変えたかった」と夫は言います。私は、その言葉で夫の気持ちが少しだけわかった気がしました。
義父は、夫のことを「何もできない。頼りない」などといろいろな面で小バカにするところがあり、きっと夫はしっかり家事や嫁の手伝いをしていることや、義父ができないことを自分は率先してやっているということを伝えたかったのだと思いました。
しかし見栄っ張り=悪口でないことをわかってほしかった私は、「いつも私がいない時間に悪口を言うのはやめて。あなたが悪口を言うことで、私からの信頼がなくなる。それを忘れないで」としっかり伝え、それ以降、夫が私の悪口を言うことはなくなりました。そのため、今では気持ちよく義実家に帰省できるように。
結婚生活にはいろいろな困難がありますが、わが家の場合は悪口から始まりました。私の悪口をコソコソと話している夫に、正直「離婚」も考えましたが、しっかり話すと夫は私を貶めたいわけではなく両親にバカにされたくないと、そのような手段をとってしまったことがわかりました。許せない手段でしたが、この経験があったからこそお互い言いたいこと、思っていることをその場で伝え合えるようになりました。結婚生活も8年目、今ではコソッと悪口を言われることもなくなりました。
著者/平津光歩
作画/霜月いく
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