生理用品代に悩まされた過去
10年以上も前のことです。私は高校卒業後、田舎にある実家から上京し就職。夜遅くまで働くことも少なくありませんでしたが、当時の給料は手取りで15万円ほどでした。そこから家賃、光熱費、食費、実家への仕送りに加え、薄化粧であることを上司から注意されてしまったことから、化粧品にもお金が消えていったのです。そこに毎月の生理用品代がかかることが私にとってはとても負担に感じたのを覚えています。
また、私より3つ年上の姉は地元で保育士をしています。姉は生理痛がとても重く、生理になると1日中寝込んでしまうことも。生理痛を緩和するため大人になってからは低用量ピルを服用するようになりました。保育士の姉の給料は本当にびっくりしてしまうほど安く、姉もまた毎月の生理用品代を負担に感じていた時代がありました。
父から信じられない言葉が…!
時が経ち、今では姉と私はお互い結婚して実家から離れたところに住んでいます。たまたま帰省する日が同じになり、家族みんなでテレビを見ていると”生理の貧困”というテーマのニュースが流れました。私と姉は生理用品を買えないとまではいかなかったものの、もったいないからという理由でナプキンを頻繁に替えないようにしたことがあり、ニュースで紹介されたエピソードに共感していました。
しかし、そのニュースを見た父が怒ったような口ぶりで「生理用品なんて何百円だろ? 毎月たったそれだけのお金が払えないなんてお金の使い方がおかしいんじゃないか。買えないんじゃなくて、買わないだけだろ」と言ったのです。自分の昔を重ねてニュースを見ていた私は、父の発言に悲しさを覚え、腹が立ちました。それは姉も同じだったようで……。
初めて父へ生理について話すと…
普段はとてもおっとりしている姉が、とても静かにハッキリした口調で「お父さんは知らないだろうけど、私もナプキンを買うお金がもったいなく感じて頻繁に替えることを我慢したときがあったんだよ。生理痛もひどくて低用量ピルを服用していて診察代もかかるし、毎月何千円も支払っているの」と言ったのです。
母には話したことがありましたが、生理用品代を負担に感じたことがあったことだけでなく、会社で経血がモレて恥ずかしかったことや生理痛、PMS(月経前症候群)で苦労したことなどもこのとき初めて父に話をしました。私たちの話を聞いた父は、「まさか自分の娘たちが」と少しショックを受けたような表情で「何も知らなかった。ごめん」とひと言、謝罪の言葉を発したのでした。
その後、父と姉と私は生理の貧困について調べ、生理の貧困とは経済的なことだけを指すのではなく、虐待やネグレクトなども背景にあることを初めて知りました。生理の貧困のニュースをきっかけに父だけではなく、私たち姉妹も生理について理解を深めることができた体験となりました。
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著者/米久熊代
イラスト/塩り
監修/助産師 REIKO