【緊急院長インタビュー】コロナを院内に持ち込まない「関所」の設置や市との連携で安心のお産を!鹿児島県/のぼり病院

鹿児島県鹿児島市にあるのぼり病院は、昭和26年に開業した歴史のある病院です。2020年1月に日本で最初の新型コロナウイルスの感染者が確認され全国に感染が広がって以降、さまざまな対策を講じ、多くの女性の診療にあたってきました。今回は、のぼり病院院長である昇 晃司(のぼり こうじ)先生に、新型コロナウイルス対策と現状についてお話を伺ってきました。
担当:二階堂

この記事の監修者

医師昇 晃司先生
産婦人科 | 医療法人光智会 のぼり病院 院長

昭和大学医学部卒業後、札幌医科大学婦人科、鹿児島私立病院産婦人科等の勤務を経て、平成20年に「医療法人 光智会 産科婦人科のぼり病院」副理事長・副院長 就任。29年4月より院長に就任し、現在に至る。日本産婦人科学会専門医・母体保護法指定医・麻酔科標榜医・新生児蘇生認定

のぼり病院外観

 

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院内にウイルスを持ち込まないことを徹底

ベビーカレンダー二階堂(以下BC二階堂)「院内の感染対策はどのようにおこなっていますか?」


昇院長「スタッフは病院入り口での検温と手指消毒を徹底しています。また、出勤時は健康チェックシートを記載し、体調管理にも努めています。過去に他の施設でスタッフの休憩場所でクラスターが発生したという事例から、スタッフが食事をするところにはパーテーションを設置しました。そのほか、鹿児島県看護協会の感染看護の専門看護師に院内の感染対策状況を見ていただき、アドバイスをもとに対応をしています。

 

最初の緊急事態宣言後、大人数で集まることが難しくなり、院内でおこなっていた勉強会がほとんど中止になってしまいました。そうなるとスタッフの学習の場や情報共有の場が減り、時間が経てば経つほど問題が出てきます。これはまずい、何とかならないか……ということで、オンラインでの勉強会を実施するようになりました」
 

健康管理シート

▲スタッフさんは健康チェックシートを出勤時に必ず記載しています

 

昇院長「他の診療科ではリモート診療をおこなっているところもありますが、産科では実際に見ないとわからないことが多いので当院ではリモート診療はおこなっていません。そのため、院内に新型コロナウイルスを持ち込まないようにすることを徹底しています。

 

まず、玄関正面にスタッフを配置して、患者様に検温・手指消毒および問診票を記載していただいています。いわゆる関所のようなものですね。入り口での問診になるので、冬は寒く、夏は暑いといったご不便をおかけしていますが、安全を確保するためということでご理解・ご協力いただいています。

 

受付カウンターも最初はビニールシートを設置していましたが、現在はアクリル板に変更しました。ソファやドアノブなど患者様が触れる物すべて、朝と午前・午後の診療後に拭き取りをおこなっています。

 

また院内30カ所にCO2濃度測定器を配置し、適宜換気をおこなうようにしています」
 

のぼり病院受付

▲風除室なので夏は暑く、冬は寒いけれど…笑顔で対応

問診票

▲新型コロナウイルス感染症に関する問診票で患者さんの状態をチェック

CO2チェッカー

▲院内30カ所にCO2濃度測定器を配置

 

面会や立ち会いは状況を見て

BC二階堂「入院中の面会や分娩立ち会いの状況はいかがでしょうか?」


昇院長「外来受診時は不要な付き添いは原則禁止しています。しかし、上のお子さんの預け先がないなどの理由がある場合は、時間をずらして比較的患者様が少ない時間帯に診察をおこなっています。面会に関しては、予約制で大人1人のみ、場所を決めて15分以内でお願いしています。(2021年11月現在)

 

分娩立ち会いに関しては、感染状況を見て一時は取り止めていましたが、現在(2021 年11月)は再開しています。立ち会う方はガウン・不織布マスクなどを着用し、感染対策をしていただいています。出産中の産婦さんにマスク着用をお願いするのは少し酷な話ですのでマスクはせず、その代わりスタッフがゴーグル・不織布マスク・ガウンを着用し、感染予防を徹底しています。

 

里帰り出産などで県外からお越しの妊婦さんは県外の感染状況を見ながら2週間待機とPCR検査後慎重に対応しています。

 

母親学級は原則オンライン、実践が必要な項目に関しては少人数制で実施しています。(2021年11月現在)院内での教室が難しくなっているので、スタッフが自作した動画を配信するなどのオンライン育児サークルも設けています。ヨガやマタニティビクスもこれまでは実施していなかったのですが、感染状況を見ながら今後検討していく予定です。

 

これらの対応も感染状況によってまた変更になる可能性もありますが、随時ホームページで情報を更新していますので、ご確認いただければと思います」
 

選択肢が少ない地方だからこその対応が求められる

のぼり病院院長

▲のぼり病院院長 昇 晃司(のぼり こうじ)先生

 

BC二階堂「これまで新型コロナウイルスに感染した患者さんはいらっしゃいましたか?」


昇院長「上のお子さんがPCR陽性で、検査をしたらご自身も陽性だったということはありました。新型コロナを疑わせる妊婦さんが来院されたこともありますが、その際は市から抗原キットが配布されるようになっていたので、検査をおこない対応しています。そして、陽性の場合は高次施設と連携をとり対応していきますが、現在まだそのようなケースはありません。

 

鹿児島県は首都圏などと異なり病床数も限られているので、保健所と医療機関とのネットワークがより整備されています。選択肢が限られているからこそ、地方ならではの対応が必要となっていると思います。当院にかかっている妊婦さんも新型コロナ陽性となった場合は、保健所の指示に従うことになります。そして、市立・大学病院など高次医療機関の医師のネットワークを通じて入院か自宅療養かが判断されます」

 

BC二階堂「もし新型コロナに罹患しても、出産の受け入れ場所がなく困るということがないということですね?」


昇院長「はい。もし産後に新型コロナ陽性となった場合は、お子さんも隔離対象になりますし、赤ちゃんが感染した場合は新生児センターとの連携が必要になります。その際も各施設と連携をとって指示に従うようになります。

 

そのようななかで、産後のケースで困ったのが乳腺炎のケースです。患者様の状況からしても乳腺炎の症状なのですが、発熱もしていますし、乳房マッサージなどをおこなうので密接状態になりますから。抗原検査ができなかった頃は、医師会の発熱外来等で検査をおこない、陰性が確認されたら当院で対応していました。現在は当院で抗原検査がおこなえるようなりましたが、それまでは悩ましいケースとなっていました。

 

今のところ、当院に新型コロナウイルス陽性の患者様が入院することはありませんが、今後対応しなければならない状況になるかもしれません。妊娠週数にもよりますが、妊娠後期なら母体搬送、ここで隔離の可能性もあります。実際は病床が空いていればということにはなりますが、体制は整っています」
 

患者さんやご家族の様子も変化が

BC二階堂「コロナ禍での妊娠生活・出産などについて不安を訴える患者さんも多いのでは?」


昇院長「第1波、2波のときよりは不安を訴える人はあまり聞かなくなりましたが、やはり新型コロナウイルスに感染した方はとても不安がっていました。また、面会や立ち会いを全面禁止にしていたときも不安の声は多かったように思います。

 

ワクチン接種も、打つか打たないか、打つとなったらどのタイミングで打つか悩まれている方が多かったです。これらに関しては、厚労省の方針に基づいて説明しています。また、厚労省や学会からの情報は、患者様が新しい情報をすぐに見られるように掲示し、内容によって掲示する場所を工夫しています。3回目のワクチン接種も国の方針にしたがって実施していくようになると思います。

 

休職をしたい人・出張が多い職場などで働く妊婦さんには母性健康管理指導事項連絡カードを記入することもあります。母健連絡カードの活用方法を知らない方も多いので、外来で案内することもあります」


BC二階堂「最後に妊婦さんへのメッセージをお願いします」


昇院長「産婦人科だけでなくどの医療機関も妊娠から出産までの期間を安全に過ごせるように感染対策を充実させています。ですので、みなさんも安心していただければと思います。もし不安なことがあったらまずはかかりつけの産婦人科の先生に相談してみてくださいね」

 


大変忙しい業務の合間を縫って取材に対応してくださった昇先生。物腰も穏やかで、1つひとつの質問に丁寧にお答えくださいました。きっと妊婦さんたちにも同じように対応されているのが容易に想像できます。第6波の兆しも見え、新たなオミクロン株への不安もありますが、のぼり病院の医師・スタッフさんたちが一丸となって1人でも多くの妊婦さんが安心・安全に出産できるよう対応してくださるのではないかと思います。

 

取材日:2021年11月30日

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