家族のカタチの理想と現実
結婚をしてから夫とは、子どもは2人か3人は欲しいね、と話をしていました。しかし息子を出産してからというもの、想像以上に大変な子育てに、もう1人を考える余裕がなくなっていた私。夫も仕事が多忙ということもあり、理想はあるけれど家族が増えることに対してあいまいな考えの日々を過ごしていました。
息子が幼稚園に通うようになり、周りのママ友が2人目、3人目と子育てをしている姿を見つつ、内心では「私にはそんなに心の余裕がない。ひとりっ子のほうが息子のためなのかもしれない」と思っていたのです。
息子から投げかけられた疑問に驚き
そんな日々を過ごしていたある日、幼稚園から帰ってきた息子がなんだか少し悲しげに私に問いかけました。「ねえママ。どうして僕のところには、赤ちゃんがこないの?」。突然の発言に驚いた私に、さらに息子は「〇〇くんのところには赤ちゃんがいるのに」と……。
幼稚園のお友だちにはみんな弟や妹がいることを私自身が感じていたように、息子も同じことを感じていたようで、私に疑問を投げかけてきました。その言葉は、それまで自分が抱いていた「ひとりっ子のほうが息子のためなのかも」という気持ちを考え直すきっかけとして、十分すぎるひと言でした。
夫と今後の家族計画について話し合い
その晩、仕事から帰ってきた夫にそのことを話すと「実はこの間、息子に同じことを聞かれた」と話し始めました。まさか息子から催促されるとは思わなかったと夫婦で話しつつ、今後の家族のカタチについて話し合うことに。
そして、第2子妊娠に向けて妊活をしていこうと、ちゃんと話し合うことができたことも、息子のひと言がきっかけとなりました。その日以降、息子はときどき同じ質問を投げかけてくるのですが、そのときは「いつかお兄ちゃんになる日がきたら」と息子の理想を聞いて、前向きに過ごすことにしています。
もともと抱いていた2人目の子育てへの不安はまだありますが、その不安を理由にして息子の幸せを私自身が勝手に決めつけていたことに反省をしました。家族のカタチは人それぞれ違うからこそ、正解はなく、結果がどうなるかはわからないものですが、息子が喜んでくれる家族のカタチのために、私も頑張ろうと思えた経験でした。
著者:伊藤 美里
4歳の男児の母。多忙な夫との3人家族で、ほぼワンオペ育児を楽しんでいる。料理と子どもが好きで、食に関する情報や自身の子育て経験を中心に執筆活動中。