とにかく褒めまくる
夫と結婚する前に会った義姉の第一印象は、女子力が高く、おしゃれできれいな方。実際に話してみると気さくで、口下手な私を気にかけてくださるやさしい方でした。そして、5つ年下の弟である彼をとてもかわいがっているんだろうなと感じました。会話のなかで「かーくん(彼)は若いのに料理ができてすごいね!」「かーくんは本当によくできた人だよ!」など、義姉は夫をよく褒めるのです。
私も彼のことが大好きだったため、最初こそ義姉の彼に対する褒め言葉には頷いていました。しかし、私も弟がいるので次第に「こんなに身内を褒めるかな?」と違和感を覚え始めました。義姉に「仲が良いのですね」と言うと「お互い連絡もまったく取らないし全然仲良くないよ!」と全否定されてしまい、どこか腑に落ちず不思議な気持ちでした。
結婚後に知った姉弟愛にモヤモヤ
姉弟愛が異常だとはっきり感じたのは結婚後です。結婚してからは、お正月などの大型連休は義実家に義姉家族も含めて集まるようになり、自然と義姉と会う機会も増えました。そのたびに義姉の”夫を褒めまくりタイム”が始まります。「かーくんは家事も育児もしてくれるんでしょ? 嫁ちゃん(私)がうらやましい」「かーくんのお金で〇〇を買ってもらったんでしょ? そんなやさしい夫は今時いないよ」など、義姉はそんなつもりで言っているわけではないのでしょうが、まるで私が不出来な嫁だと言われてるように感じることも。
一方、夫も私との会話そっちのけで義姉と毎日LINEで連絡を取り合っており、週末には夕飯の時間帯になると義姉から夫に電話が。大体1時間以上の長電話になるため、せっかく作った晩ご飯をひとりで食べることもしばしばで……。まさか夫と義姉の仲が良いことで、モヤモヤした新婚生活を送ることになるとは思ってもみませんでした。
夫に不満を打ち明けると…
結婚したからには大好きな夫の家族を大切にしなければと、使命感にも似た思いがあったことや、私が神経質になっているだけなのでは? とも思っていたので、義姉の行動に関して夫には今まで相談しませんでした。しかし、徐々にストレスが溜まっていき、私はついに夫へ今までの不満をすべて話すことに。
すると夫は心底驚いた様子で「家族との連絡だし、まったく気にしていなかった。まさか嫁ちゃんにつらい思いをさせていたとは思っていなかった。俺の今の家族は嫁ちゃんなのに、一番大切にしないといけない人を蔑ろにしてごめん」と謝ってくれ、義姉との連絡は控えてくれるようになりました。義姉にも私が不満に思っていることは伝わったはずですが、特になにか言われることもなく今まで通り気さくに接してくれました。
その後、夫との間に子どもを授かり、かわいい弟の子どもということもあってか、義姉は私の出産準備のときからさまざまなベビーグッズを買い揃えてくれ、出産祝いも盛大にしてくれました。産後もコロナ禍で里帰りができず困っているとき、仕事で多忙な夫の代わりに家事や育児を手伝いに来てくれるなど、夫と義姉が連絡を取り合ってくれたことで、むしろ助けられたのでした。
結婚後に知った姉弟の仲の良さに最初こそ戸惑いましたが、産後一番大変なときに夫と義姉の連携のおかげで何とか乗り切ることができました。そして、一時は義姉を優先する行動をしていたように見えた夫が、いざというときは私の見方になってくれることがわかり、この人と結婚してよかったと改めて感じたのでした。
著者/米久熊代
イラスト/マメ美
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