ヘラみたいな次女のスプーン
次女のスプーンは出産祝いでいただいたもので、木製ですくう部分が浅くヘラのような形をしていました。離乳食をすくったときもほぼスプーンに「のっている」だけの状態なので、次女の口に入れて引き抜くと離乳食はほとんど残っていません。
しかし、長女の離乳食のとき使っていたスプーンは子どもの口に合わせた細い形状でしたが、すくう部分が深かったので長女の口に入れて引き抜いても離乳食がスプーンに残っていることがよくありました。
嫌だったのは離乳食じゃなくスプーン?
長女は私が指でつまんで与えた焼き芋や手づかみ食は比較的よく食べてくれていましたが、どろどろの離乳食はほとんど食べませんでした。当時は「どろどろの食べ物が苦手なんだな」と思っていましたが、本当はスプーンが嫌だったのかもしれません。
あのスプーンでは、口が未発達な赤ちゃんだとほとんど離乳食を味わえていなかったのではないかと思うのです。私的には「離乳食を与えている」つもりでしたが、長女からすれば「よくわからない棒を口に出し入れされている」だけだったのではないかと考えたりもします。
時すでに遅し…だけど
次女のスプーンを洗いながら長女の離乳食期を思い出し、「ごめんね」という気持ちでいっぱいになりましたが、もう長女の離乳食期は戻ってこないのでどうしようもありません。長女がその後ほとんど好き嫌いをせず、元気に育っているのが何よりの救いです。
ちなみに、その後出産した第3子の長男の離乳食期には次女と同じようなヘラのような形のスプーンを買って使ってみましたが、次女と同様によく食べてくれました。性格もバラバラな3人なので、長女も同じスプーンだったら離乳食を食べてくれたとは限らないのですが、あのころは本当に食べてくれないことに悩んでいたのでどうしても少し後悔してしまいます。
長女の離乳食期は「おいしくないから食べてくれないのだ」と思い込んでいましたが、本当は離乳食そのものではなくスプーンが原因だったのかもしれません。赤ちゃんであってもこだわりがあり、一筋縄ではいかないことを学んだ出来事です。
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監修/助産師 松田玲子
著者:岩崎はるか
2女1男の母。両実家とも遠方のためワンオペ育児中。先天異常の影響で肺が片方しかない医療的ケア児を含む3人の子を育てた育児体験談のほか、大学院で農学を学んだ経験から食についても執筆。