夫の愛人の正体は…
不貞の事実と離婚の意思を告げられたあと、夫とは別居しました。ショックで頭がおかしくなりそうでしたが、証拠集めのため探偵に調査を依頼すると、相手はわが子と同じくらいの幼い子どもがいるシングルマザーでした。夫に問いただすと、その人は妻子がいることを知ったうえで夫との再婚を望んでいるとのこと。
同じ母親として、幼い子どもたちから父親を奪い取ろうとする気持ちが理解できないですし、許せません。弁護士に相談して慰謝料請求することにしたのですが、離婚前提ではない場合、慰謝料請求の額は大きくないとのことでした。そのうえ、相手に慰謝料請求を無視されたのです。人の心、家庭を壊しておいてなぜ?と悔しくて涙しました。
非通知の番号から謎の電話
慰謝料請求のあとから、嫌なことが立て続けに起こるようになりました。まず、夫からは経済的に追い詰められていきました。またある日、私の携帯に非通知で電話がかかってきました。そして、過去に夫の不倫相手だったと名乗る人から、私の知らない、夫の過去に関する嫌な話を聞かされたのです。電話番号は夫婦共通の知人から聞いたとのことでしたが、夫婦共通の知人は少なく、私の番号を知っている人もほとんどいないのです。
話の真偽はわかりませんが、つじつまが合わないことがいくつもあったので、なんだか怪しい……と思った私は、「不貞が事実なら訴えます」と毅然と対応。すると相手は慌てたようにすぐに電話を切り、それから電話をかけてくることはありませんでした。ただ、無言電話は度々ありました。
SNSに不正ログイン、自宅前に怪しげな女
さらに、不倫相手の名前が登録されたパソコンから私のLINEのアカウントに何度かログインを試みた形跡が……。他のSNSでも私のアカウントにログインを試みる通知が相次いでおり、弁護士に相談したところ、警察に届け出ることになりました。警察から夫に連絡が行きホッとしたのも束の間、今度は明らかに変装した感じの怪しげな女の人が自宅の前に立っていたのです。
近づいたら去っていきましたが、怖くなって引っ越しも考えました。ただ、子どもたちはこの家の学区の小学校と幼稚園に通っており、家も気に入っています。家の鍵を変え、防犯カメラを設置。盗聴器の探査も依頼して、引っ越しはしないことにしました。
嫌がらせから気づいたこと
今回の件での出費は相当なものです。このお金を子どもたちのために使いたかった……と考えると悔しくて仕方ないです。数々の嫌がらせも、私を追い詰め、弱らせ、離婚に同意させようとするためでしょう。実際、相当なダメージを受けました。でも、気づいたことがあるのです。
これまで、夫と不倫相手に仕返しをしたいと思ってあれこれ考えても、何1つ実行できないでいました。悔しいけれど、人としてはそれが正しかったかもしれない、と。私は人として恥ずかしいこと、間違ったことは何1つしていないですし、誰も傷つけていません。そのことに気づいたとき、なんだかホッとしてしまいました。
悪には屈しない! 離婚は断固拒否!と頑なでしたが、友人から「復讐に生きてちゃもったいないよ。復讐は、幸せになることだよ」と言われ、だんだんとその通りだと思えるようになってきました。現在、夫とは離婚協議中です。ただし子どもたちのために、離婚の条件は譲る気はありません。私と子どもたちの笑顔のために、凛として生きていきたいと思います。
イラスト/きょこ
著者:山本舞花
自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。