東京都では置き去り事例が増加傾向
朝日新聞デジタル 2022年2月13日 散歩中の保育園児「置き去り」4年間で94件 東京都が注意喚起
先日、朝日新聞デジタルでこのような報道がありました。ベビーカレンダーでは東京都と大阪教育大学の小崎恭弘教授に、この問題の現状と課題についてお話を伺いました。
明らかになっているのは氷山の一角!?
小崎教授は保育所の問題点として以下の内容を挙げてくださいました。
■子どもの把握の不十分さ
■経験者の不足
■リスクマネジメントの理解不足
■保育環境の問題
東京都によると、2017年に2558件だった保育園の数が2021年には3477件と増えているとのこと。その反面、保育士不足の問題は未だ解決には至っていません。
保育士1人に対しての子どもの基準は、0歳児 1:3、1,2歳児1:6、3歳児1:20、4,5歳児1:30。小崎教授によると、お散歩や園外保育のときには人手を増やすこともありますが、そんなにたくさん人手はおらず、ギリギリの人数のなかで保育をしているのが現状とのこと。新しい保育園が増え、経験の少ない若い保育者集団や経験の浅い施設長の元で、これまで当たり前とされてきた、保育の文化や常識がうまく組織内に伝わっておらず、見逃されたりしていることで、子どもの安全が徹底できていないのではないかとおっしゃっていました。
実際、都が把握している園児置き去りの事例は認可保育園における報告のみ。これは、国が特定教育・保育施設等に対して求めている重大事故発生時の報告に、①感染症、食中毒が発生(が疑われる場合を含む)②迷子、置き去り、連れ去り等が発生し(かけ)た場合を都が追加したためとのこと。そのため、認可外保育園からの報告はなく、明らかになっている園児の置き去り事故は他にもありそうです。
さらに小崎教授は、保育における「リスクマネジメント」の弱さを指摘されていました。都では、例年開催されている保育士講習会やHPで置き去り関係の注意事項を資料に記載し、園児の置き去り件数が増加している旨を伝えるなど注意喚起をおこなっているとのこと。
保護者にできることってあるの?
保護者の目の届かないところで起こる「園児の置き去り」。保護者にできることをおふたりに伺ったところ、「普段から施設側と保護者側がコミュニケーションをとることが大切だ」とお話しされました。さらに、施設側の対応を普段からよくみておくことが、隠蔽防止にもつながるとのこと。
医療事故などでも施設側と患者側のコミュニケーション不足によりことが大きくなってしまうということが少なくありません。コミュニケーションをする上で、お互いの伝え方・聞き方も重要になるかと思います。そのようなスキルを身につけることも必要になってくるのではないでしょうか。
保育士不足という問題はなかなか解決が難しい問題ですし、現場の保育士さんも大変なことも多いかと思います。とはいえ、子どもの命を脅かすような事故はあってはならないことだと思います。さまざまな対策が講じられ、より安心して子どもを預けられる場所となるとよいですね。