生活音におびえる
私の生い立ちや絶縁までの経緯に耳を傾けてくれ、家へ迎えいれてくれた夫と義両親。しかし「両親と縁を切った! もう怖いものはない、毎日笑って暮らしていこう!」と思っていたのですが、考えは正直甘かったです……。長年ストレス状態にさらされていた私の精神は、さまざまな異常を抱えていました。
それは、生活するうえでの何気ない「共通点」が、トラウマを呼びもどす引き金になったのです。例えば階段を登る義母の足音が聞こえる度に、部屋へ怒鳴りこんでくる母の姿がフラッシュバックして、手足が震える、というようなものでした。
被害妄想にふりまわされる
そして、私がいちばん苦しんだのは「妄想」でした。例えば、仲良くテレビを見る義両親の横で料理をしていると、ふと妄想が膨らむのです。それは、実の両親が老いてテレビを見る後ろ姿……。彼らは振り返って、シワシワの顔で私に言うのです。「お前のせいで不幸になった」と。
こうなると包丁を持つ手がふるえ、立っていられなくなります。
しかし、そんな私の様子に、義母はすぐ気付いてくれます。そして「あなた、両親が仲良くテレビ見てるところなんて見たことないでしょ! 戻っておいで!」と背中をポンポンしながら、私を幸せな現実に呼び戻してくれるのです。
思考のクセを受け入れていきたい
また、私の思考の悪いクセで、何事もすぐに責められたように感じてしまうのです。そして「怒らせた、見捨てられる、謝らなきゃ」という負のループに……。特に義両親との関わりあいではこれが顕著で、最初は義両親の言葉を、まっすぐ素直にを受け取れませんでした。
こういうときは、夫が間に入ってくれて「責めるつもりで言っているんじゃないってこと、僕はわかるけど、彼女は責められたと感じてしまうんだ」と義両親に伝えてくれるのです。
すると、いつだったか義母が「そんなふうに受け取ってしまうほど、ずっと責められて生きてきたんだね。つらかったね」と涙ぐんでくれたことがありました。私はありがたくうれしい気持ちと、自分の生い立ちを思い出して悲しいのとで、ぐちゃぐちゃになり、義母の前で思わず泣いてしまいました。
私にとっては、夫や義両親との生活はまるでセラピーのようです。そしてそんな結婚生活で、私は心が少しずつ健康を取りもどしてきたように思います。「大抵の人の言葉には、裏の意味なんかない。皆が嫌味を言うわけじゃない。少なくとも、この家の中だけはそうだ」と信じられるようになりました。まだまだ始まったばかりの4人暮らし、夫と義両親のまっすぐな愛情をビシャビシャに受け取って、笑っていたいと思います。
著者/つちやです
イラスト/塩り
関連記事:「ええっダメなの!?」指摘に大ショック!婚活で私が直した3つのダメマナー
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!