小さいころから母の言いなりだった私
私が24、5歳になったころ。結婚適齢期となり、母が見合い話を持ってくるようになりました。実家は私の父で7代目。後継ぎが欲しいと考えた母は、すでに結婚し家を出ていた姉の代わりに、私に婿を取れというのです。
婿が欲しいのとは別に、母は私にも実家を出て欲しくないようでした。母は、私が小さいころから「あなたはずっとお母さんのそばにいてね」と言い聞かせてきました。それもあってか、私は大人になってもまだ母の言いなりでした。
そんなふうに、昔からおとなしい性格で母に従順だった私は、「まあ今付き合っている人もいないしいいか」と、母の言いつけに従ってお見合いに参加することに。
お見合いをすることに。結果は…
その後、母が選んだ男性10人以上と会いましたが、結果は失敗。私が断ったものもあれば、相手に断られたものもあります。おしゃれはしていたし、気の効いた会話を心がけ、少食なフリもして、私なりに頑張ったつもりでした。でも今思えば、親に言われてなんとなくお見合いをしているという誠意のなさが、少なからず相手に伝わっていたのだろうと思います。
最後に、「この人なら結婚してもいいかも!」と思う人と出会いました。趣味が合って会話も弾む、顔も私好み! 数回会って「まあ、この人で手を打つか……」と、母にゴーサインを報告しました。
しかし、先方からあっさり断られてしまいました。ウマが合うと思っていたのはどうやら、私のほうだけだったようです。とんだ勘違いに、冷や汗が止まらない思いでした。なんだか疲れてしまい、しばらくお見合いからは遠ざかることに。
はじめて母に反抗
そのあと、友人に紹介された男性と交際を開始しました。それが今の夫です。「今度会ったら、この話をしよう」などと、感動や楽しさを共有したいと思ったのは、この人が初めてだったかもしれません。
もうお見合いは今後一切断り、彼と結婚して実家を出ようと決めました。「ずっとそばにいてね」とプレッシャーをかける母、母が理想とする婿探し、老後まで続く実家暮らし。どれも想像すると息が詰まり、今後も母の言いなりになって生きていたら、自分は幸せになれないと思ったのです。
「実家を出て、彼とイチから家庭を作りたいと思います」私がそう告げると、母は激怒しました。「親不孝者!」「婿は!?」と詰め寄る母。でも、彼と一緒になりたい、2人で新しい家庭を作りたい、という気持ちが強く、私は人生で初めて母に反抗し、意思を通しました。
その後、彼と入籍して実家を出ました。「母が気に入るかどうか」というフィルターを通さず、ごくシンプルに、お互いを幸せにしたいと思えるか、という基準で彼を選んだことに、まったく後悔はありません。
私の母は、「親が選んだ相手ならこどもは幸せになれる」「親のほうが経験値があるからね!」と自信満々でした。いつの時代も、親世代と子ども世代では結婚観も違いますし、意見が対立してしまうことは仕方がないのかなと思います。
でも、私は母との対立を経て、自分の人生を自分で選ばないのが、一番の後悔となるとわかりました。私が母の立場になったときには、子どもの幸せを第一に考え、子どもの意思を尊重したいと思っています。
文/水野亜美さん
作画/霜月いく
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