思い返すと、母はいつも私のことを近所の人たちに対して「出来が悪い子」だと、なぜか自慢げに語っていた。
「僕と帰ってこない妻」第148話
自分の子どもを人前で決して褒めず、謙遜することで、近所の人とうまくやっていく処世術。
「うちの子、可愛くないし、根性もないから~」
「こんなんで将来、どうするんでしょって感じですよ」
これが、母なりの生きる術。
でも、すぐそばで頻繁に「可愛くない」「根性がない」と言われる私の心は、毎回その言葉に傷ついていた。