家計の管理は、夫より妻が管理することの方が多い傾向にあります。さまざまな統計やアンケートを見ても、妻が家計管理をしている家庭は全体の6割~7割程度の結果となっています。
出産前からお子さんを育てる期間、とくに一人目の場合は、今までの家計と変化することも多くなりますが、家計をあまり理解していない夫とお金の流れが変わって戸惑う妻が家計について、もめてしまいがちな時期でもあります。
今回は、お子さんが産まれる前で起こる家計についての考え方を、あまり家計管理に関わっていないプレパパ向けにご説明します。
1.出産前にもいろいろと費用がかかります
出産そのものにそれなりの費用が掛かることは分かっている方は多いと思いますが、事前にもそれなりにかかることを覚えておいてください。
出産前でも、①定期健診、②マタニティウェア、③母親学級や関連書籍等の学習費は最低限かかります。また、場合によっては、つわりが重度で入院するケースやお仕事をされているママの場合は、有給休暇や産前休暇に該当しないお休みはお給料が出ないなど、それぞれのご家庭ごとにおける出費や収入減の可能性もあります。
これらを理解せずに、今までと同じ金額でやりくりするのはかなり難しいので、ご夫婦で家計について状況を確認する機会をつくって、必要に応じて過不足を見直しましょう。
2.出産前からできる手続きや準備があります
1では、かかる費用中心のお話をしましたが、行政や勤務先などから出産前後にかかる手続きやその準備をしないといけないものもあります。
たとえば、妊娠中の定期健診ですが、多くの市区町村で費用の補助をしていますので、その確認や手続きにママができない場合は代わりに行ったり、出産前後の費用は毎年の確定申告で医療費控除の対象となるので、領収証をまとめておいたりと、すべてを一人で行う必要はありませんが、協力や分担できるようにしましょう。
また、お子さんの進学費用準備の一つである学資保険は出産前でも加入できる保険会社があります。出産後の体調が思わしくない時期や慣れない子育て中で手続きするより、落ち着いて検討ができるので、出産前にお手続きする方も少なくありません。
3.家計全般について考えるタイミングです
1と2は出産前の1年にも満たない期間のお話が中心ですが、子育ては20年前後かかる期間の長いものです。お子さんにお金がかかるとすぐに削られてしまうのが、パパのおこづかいというご家庭も少なくありません。しかし、それにも限界があり、しかもパパのモチベーションも下がってしまいます。
まったくパパのおこづかいを削らなくていいという話ではありませんが、家計全般あるいは携帯電話やインターネットなどの通信費、電気やガスなどの光熱費、住宅ローンの金利などの固定費のムダを見直して、子育て費用に一部を当てることも多くのご家庭でできています。時間や体調の面もありますが、出産前に家計全般と今後について考える機会をつくるといいでしょう。
家計管理の苦手なご夫婦は、ファイナンシャルプランナーに相談することも検討してみてください。
家計管理にあまり関わっていないプレパパもできるところから、家計についてご夫婦2人で考えたり、動いたりする機会にしていただければと思います。次回は、お子さんが産まれた後の新米パパ向けに家計の基本をお伝えいたします。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。