最初は頼りにしていたママ友
わが家の長女が年長のころのお話です。幼稚園で同じ学年の男の子のママと仲良くなり、家を行き来することもありました。とても教育熱心なママで、子育てに対してのビジョンが明確な感じがしました。当時の私は初めての子育てで自信がなかったこともあり、そのママ友の話に興味津々。
ママ友の息子くんはスポーツ万能でいつもかけっこは1位、マラソンも1位、球技も得意です。そのうえ、絵なども賞を取るほど。ママ友は毎日息子君の走る練習に付き合ってあげたり、絵画教室を探し出し習わせてあげたりと、息子くんのことを第一に考えてあげている姿に私はいつも感心していました。
かけっこ対決をしようと提案
とある週末、ママ友親子がわが家へ遊びに来ました。その日は夫もいたので、外でかけっこをすることに。まずわが家の長女、私、ママ友で走りました。わが家は「上には上がいる」ということを教える方針なので、子どもだからといって手加減はしません。なぜなら、大人が本気を出したほうが、大人が熱くなる姿に子どもも楽しめるのではないかと思っているからです。このときは私が勝ち、長女は悔しそうでした。
私は「その悔しい気持ちがあればもっと速くなれるから大丈夫大丈夫!また頑張ろうね」と長女をフォローしました。次に、夫、ママ友の息子くんで走りました。夫は普段自分の娘と勝負をするときのように手加減をしなかったので息子くんに勝つと、息子くんは今までに見たこともないくらいに泣いて暴れだしました。
夫、ママ友に怒られる
そんな息子くんの姿に私たち家族は驚きながらも、夫が泣きじゃくっている息子くんに「ごめんね」と言いました。しかし聞く耳を持ちません。するとママ友が夫に「うちの大事な○○を泣かすなんて。これで自信をなくしたらどうしてくれるの? 普通は子どもに勝たせてあげるでしょ」と怒って言いました。
私はこのママ友の言葉で一気に自分の心が引いていくのを感じました。それまでは方針に違いはあってもママ友を慕っていただけに、とても残念な気持ちでいっぱいになったのを覚えています。
この一件で私はママ友とは連絡を減らし、少し距離をとるようになりました。子育てに対する考え方は家庭によってさまざまです。どちらが正しいも間違っているも私はないと思います。今回、私の家も、わが家の方針で手加減なしで競走してしまったことは見直さないといけないのかもしれません。しかし、ママ友とはお互いの考えが違っても尊重し合える関係になりたかったです。
イラスト/きょこ
著者:石井ゆうき
姉妹を育てるママ。長女の反抗期に悩まされながらも、姉妹の戯れに日々癒され中。秘書として働いており、現在は育休中。1人目出産直後に夫が転職に失敗し、夫が転職に失敗したことを機に、お金にまつわることに興味を持ち、FP2級の資格を取得。家計管理・資産運用に生かしている。